「誰か」ではなく、「全員」で流れを変える

この2試合のロボッツにおいては、あるシーンが目立った。それは、コート上の選手たちが一斉に控えの選手と交代するという光景だ。クォーター途中で3人以上選手が交代した場面は、2試合で7回。第1戦では実に6回を数えた。チームをAとBに分ける、いわゆる「ツープラトーンシステム」のような状態だったとも言える。なぜこのような起用法を採用したのか。#2福澤晃平は、ツープラトーンシステムを次のように語る。

「開幕節の群馬戦では、特定の選手にプレータイムが偏っていました。誰かを交代させるよりも、チームを大まかに2つに分けることで、一人一人交代させるよりも、選手の役割が明確になりますし、戦略システムも大胆に変えることもできます。」

群馬戦を改めて振り返ると、小林が2戦続けて30分以上コートに立ち、第2戦では先発出場した5人全員が30分以上プレーをした。長時間のプレーは、選手にとっては負担を強いることだ。結果として、特定の選手に頼りきりになってしまうことにもつながるし、1人のパフォーマンス次第で、チーム全体が機能不全に陥りかねないという危険も潜んでいる。ロボッツにおいてはこれまで何度となく起こってきたことだ。こうした事態を打開するため、コーチ陣がシステムの導入を決断したのだという。

また、福澤は長いシーズンを見据えた上でも、ツープラトーンは有意義だと言う。

「プレータイムが偏ると、1試合の40分、ひいては60試合というシーズン全体を考えたときに、最後の最後で力を発揮できなくなったり、疲れが出てしまう可能性があります。チームを分けて、フレッシュな選手を入れていくことで、失いかけた流れを取り戻す。そして、時間をおいて休んだ選手たちがまた全力でプレーをする。その繰り返しで戦えることがメリットになると思います。」

また、キャプテンの平尾も、新システムへの手応えを口にする。

「チームをグループ分けしたことで、何をしなければいけないか、選手たちの役割が明確になったのかなと思います。グループとして、課題であるディフェンスやリバウンドに対して何をしなければいけないか、しっかりと役割ができたと思います。」

大前提として、選手個人のレベルが高いところで拮抗しているからこそ、ツープラトーンシステムが行えることを忘れてはならない。今季のロボッツは、ベンチワークも非常に注目すべきポイントになると言えそうだ。

シーズン唯一の日立開催。「また見たいと思ってもらえるように」

昨シーズンから続くホームでの連勝を「17」としたロボッツ。次なる戦いは、日立市・池の川さくらアリーナで行われる青森ワッツとの2連戦だ。昨シーズン、ロボッツは池の川さくらアリーナでは勝利を収めることができなかった。日立を訪れるブースターに、2年ぶりの勝利をプレゼントしたいところだ。

青森は昨シーズン、特にインサイドでの戦いに苦戦し、トータルリバウンド数でB2ワースト2位となった。しかし、今季は新戦力のビッグマン、#7 ジョシュア・クロフォードがインサイドをがっちりと固めている。開幕から4試合すべてで2桁リバウンドを記録し、得点も4試合平均17.0点と攻撃力も十分に備えている。ロボッツとしては、リバウンドへの意識を高く持ち、彼を起点とした攻撃を防ぎたい。

対するロボッツのキーマンは、#31 アブドゥーラ・クウソー。今シーズンは限られた出場時間の中で、きっちりとリバウンドを奪って得点を奪い、ペイントエリアを守るという仕事は果たしている。職人芸ともいえるインサイドでのパワフルなプレーに注目だ。

シーズン唯一となる日立での開催。バイスキャプテンの福澤は、試合への意気込みをこう語る。

「ホームの30試合中、日立はこの2試合しか行われません。茨城を背負うチームとして、県全体の皆さんに応援してほしいですし、そのためにはしっかり勝たないといけません。日立での試合だからと、初めて見に来てくれる方もいらっしゃると思いますので、そういった人たちに、もう一度見たいと思ってもらえるようなプレーをしていきたいと思います。」

開幕節では2連敗を喫したものの、ホームでの連勝で星を五分に戻したロボッツ。青森戦でも勝利を収め、上位進出への足がかりとしていきたい。

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