茨城ロボッツ代表・山谷拓志は、その名の通り、山あり谷ありな道を志を持って拓いてきた。
生まれながらにして、開拓者精神の持ち主なのだろう。
今の茨城ロボッツがあるのは、山谷が2014年11月に前身のつくばロボッツ再建にあたることからはじまる。
今回は、拠点をつくばから水戸に移し、アダストリアみとアリーナが完成するまでの荒野を駆け抜けてきた軌跡を紹介する。

山谷拓志(やまやたかし)
株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント 代表取締役社長 
1970年生まれ 慶應義塾大学経済学部卒業
リクルート、リンクアンドモチベーション勤務を経て、栃木ブレックスを創業。
日本バスケットボールリーグ専務理事を経て2014年より現職となる。
スポーツマネジメント分野における専門家としても注目を集め、「スポーツ経営論」「スポーツによる地域活性化」「モチベーションマネジメント」などのテーマでセミナー、講演、寄稿多数。元アメリカンフットボール日本代表選手。

茨城ロボッツはB.LEAGUEに参入できない

2015年8月2日、つくば市に建設予定だった体育館が住民投票で撤回されたとき、誰もがB.LEAGUEへの参入はできないと思っていた。しかし、山谷は8月末の参入審査までに条件を揃えてB.LEAGUEへ申請する。いつも周囲の予想をいい意味で裏切ってくる。

「8月末の参入審査までに3,000人以上のアリーナを確保できなければ、B.LEAGUEには参入できないと言われていました。僕たちにとって奇跡的だったのが2019年に茨城県で国体が開催されるということで、水戸市が新しいアリーナを建設するということでした」

夏休みを挟む8月。必死の思いで水戸市長との面会を行い事情を説明したところ、すぐに返事をいただくことができた。その時点で、山谷だけは『いける』と確信したに違いない。

「『アダストリアみとアリーナ』は、茨城県内で唯一B1ライセンスの条件をクリアできる可能性を持つアリーナです。国体がなければロボッツのB.LEAGUE参入も、アダストリアみとアリーナというホームも、B1ライセンスも取得も出来なかったことです」

この日から、水戸市は茨城ロボッツにとって重要であり、とても意味のある拠点になる。『アダストリアみとアリーナ』が完成するまで、言わずもがな紆余曲折は大いにあった。初めて体育館の計画書を見た時、『スポーツを魅せる場』としてのアリーナの定義には程遠いものだと感じた。

「設計はほぼ固まっており着工し始めていましたが、水戸市に要望書を6通ぐらい出しました。総項目数でいったら2、30項目はあったと思います。スポーツを魅せる場としての意見を率直にぶつけていきました」

公共施設として画期的な体育館にするために

当初、水戸市や建設業者にとって、山谷の存在は厄介だったに違いない。しかし、両者とも山谷と同じように『施設を使ってくださる方々に喜んでもらえるものを創りたい』という想いが根底にはあった。

「設計段階では座席がすべて固定式だったことにより、観戦しにくく死角となってしまう席ができてしまうので真っ先に移動式の座席に変更していただきました。また、体育館の床面にラインを引かないようお願いしました。通常、体育館には赤、青、黄色等のラインが引いてあるので、ゲーム前に茶色いラインテープ消しで時間を掛けて消しているんです。試合後にはまた剥がして…。その行為は、かなりの資源と労力が掛かります」

体育館にラインを引かないというのはハードルの高い要望のため、水戸市長も最初は厳しいだろうと話していた。しかし、施設を利用する他の競技団体と慎重に話し合いを重ねてくださった結果、完成したメインアリーナにはラインが引かれていない。これは、公共施設としてはとても画期的なことだ。

「全席にカップホルダーが付いていることも公共施設の体育館としては画期的なことです。従来の体育館は、街の中心部から離れている場所にありますが『アダストリアみとアリーナ』は比較的利便性の良い立地にあります。駐車所も事前予約が出来るakippaを導入していただいたりと、『茨城ロボッツ』というコンテンツに水戸市は期待してくださってるんだと感じています」

体育館などの『箱』は、コンテンツがあってこそ活きてくるもの。コンテンツが充実していけば、稼働率が上がり収益も増える。それは水戸市民にとって、税金負担軽減へとつながっていくことになる。茨城ロボッツとして新しい『箱』にコンテンツを呼ぶことも仕掛けていくという。

「今回、バスケットボール日本女子の代表戦を招致したことも、我々が稼働率をどんどん上げていきたいと考えているからです。コンサートや会社説明会、会議、総会みたいなものを招致していくことも考えています」

ロボッツの意見をしっかり聞いていただき、素晴らしいアリーナが完成したのだから、ロボッツ自身が主体的にアリーナの有効活用を先導していく。

「将来的には4画面センターハングビジョンを設置し、アダストリアみとアリーナをより『魅せる場』にしてきたい。将来的な導入を見据えて、取り付けることができる天井荷重としていただきまた取り付けしやすいように設計いただきました」

アダストリアみとアリーナは、これからも変貌を遂げていく。
それは、茨城ロボッツのゲームを魅せるアリーナであり、公共施設として利用価値の高い施設であり、市民の皆様へ還元できる施設であるということだ。
試合で勝つことはもちろん、それ以外でも茨城ロボッツの活動にご期待下さい。

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