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[選手対談5] “日本”で戦うということ 2人の決意と役割

※本記事は、2019年9月21日刊行の『2019-20 IBARAKI ROBOTS OFFICIAL FANBOOK』に掲載したものです。

日本という国でのプレーを選択し、長く生活をしている二人。
インサイドプレーヤーとしての役割はもちろんのこと、日本を理解しているという面では「RUN as ONE」を体現する上で重要なファクターになるであろう。
そんな二人に「コミュニケーション」をキーにして話を聞いてみた。
インタビュー・文=鳴神富一 取材日=2019年8月9日

チームが勝つことだけを考えて全力で戦う

―日本でのプレー経験も長いウィル選手ですが、今シーズンこのロボッツに移籍してプレーしようと決断した理由を教えてください。

ウィル・クリークモア(以下ウィル) 日本でプレーするのは4シーズン目ですが、これまでリーグのトップチームではプレーできておらず、チャンピオンを狙えるようなチームでプレーしたいという思いがありました。ガーベロットヘッドコーチとは以前ベトナムで一緒にさせてもらったことがあります。彼が茨城ロボッツでヘッドコーチをすることが決まり、オファーをもらって、すぐにこのチームでプレーしようと決断しました。

―ジャーラ選手はプロリーグでのプレー3シーズン目。昨シーズンに続きロボッツでの戦いを選択しました。改めてこのチームでプレーできることへの喜びや気持ちを教えてください。

ジャーラ志多斗(以下ジャーラ) プロになって3年目、昨シーズンロボッツに移籍してきた中でいろいろな経験ができました。シーズンオフは色々と考えていたけれど、昨シーズンを振り返ったときに、もう一度ここでチャンスがあるかなと思って。また茨城の地で、ロボッツのコートでしっかり頑張っていきたいと考えています。

―改めてこのチームでどのような役割を担っていこうと考えていますか。

ウィル チームに貢献すること、チームを助けることが最優先にあります。これまでは、自分が得点をとる、リバウンドをとる、というのが自ずと役割として決まっていましたが、今回はチームから求められる立ち位置も違います。とにかく自分が気にかけているのはチームの勝利のみ。それに向けて自分ができるプレーをやっていきたいと思っています。

ジャーラ ウィルが言ったように、チームが勝つためにはプロとして何でもしないといけないと思っています。日本人選手とは1シーズン通してプレーを一緒にしてきていますし、コミュニケーションは取りやすいと感じています。さらにコート上での個々のプレーを理解できているのも大きいです。外国籍選手の3人とは初めてプレーするので、練習や試合を通して上手く連携をとれるように調整し、シーズンが始まったらチームとしていいスタートを切られるように頑張っていきたいと思っています。

―今シーズンから就任したガーベロットヘッドコーチは経験豊富なコーチで、ウィル選手はベトナムでも一緒に時間を過ごしてきましたが、彼への印象を教えていただけますか。

ウィル 彼はものすごくバスケIQが高く、非常に熱いパッションがあって、毎回の練習でそのパッションを出してくれます。さらに非常に頭がいい人なので、どういう風にしたら勝利を収められるかを知っています。また一緒に戦えるのが非常に楽しみです。

ジャーラ 昨シーズンと比較すると、違う部分がたくさんあって、ウィルが言ってくれたようにコーチはバスケに詳しく経験豊富です。彼の目指しているバスケを我々選手たちがコート上でしっかりと表現していくしかないですし、それをもってチャンピオンシップを獲得できるように頑張っていきたいです。

―ウィル選手は4シーズン、ジャーラ選手は高校時代から日本でプレーしています。日本人選手と外国籍選手とのコミュニケーションの橋渡し役としても期待されていると思いますが、どのような部分をポイントにしていますか。

ウィル ニック(ニコラス・カナー・メドリー)とチェフ(ダニエル・オチェフ)は、初めて日本で生活をします。僕ら2人は文化も含めて日本を良く知っていますので、彼らが生活していく上で様々な面を助けていくことができると考えています。バスケに関しては、組織としてもトップレベルにあるチームですし、日本人選手も非常に能力が高い選手が多いので大きな問題はあまり出てこないと思っています。

ジャーラ 自分自身は高校時代から日本でプレーしていますが、言葉を含めてチーム内でのコミュニケーションは問題ないと思っています。また、今シーズンについては、昨シーズン一緒にプレーしたチームメイトばかりなので、すごくコミュケーションはとりやすいです。あとは外国籍選手と日本人選手が色々とお互いに話をして理解できるようにしないといけません。積極的にコート上でもコート外でも話ができるようにしてあげることが大切で、言葉の壁がない分、自分が積極的に話をしていきながら上手く繋ぐ役割を担っていければ、チームとしてスムーズにコミュニケーションがとれて、連携がとれるようになっていくと思います。

―茨城ロボッツというチームそのものに関しての印象はいかがですか。

ウィル 今まで経験した他のチームとの比較となると難しいですが、非常にバスケがしやすい環境があると感じています。アダストリアみとアリーナは本当にベストなアリーナだと感じていますし、スタッフもプロフェッショナルで、この環境を非常に楽しんでいます。

ジャーラ 他のチームと比較しても良いアリーナをもっていて、選手やスタッフともコミュニケーションがとりやすいし、会社自体もしっかりしているなと感じています。それでも、バスケは良いアリーナがあって、経済力があるというだけで勝てるスポーツではありません。さきほども言ったように、しっかりコミュニケーションをとって、チームとして理解しあっていることなども大切で、自分たちがやるべきことを確実に表現することが大切です。自分としてはそこをしっかりやるしかないと考えています。

日本は本当に過ごしやすい

―ウィル選手は4シーズン日本でプレーしていて、そしてジャーラ選手は日本人(帰化選手)として生活しています。この日本という国の良さをどのように感じていますか。

ウィル いろいろな理由がある中で日本でのプレーを選択しているのはありますが、いままで10ヶ国くらいでプレーしてきて、現在は毎年日本でプレーしたいという思いが強くなっています。日本はとても過ごしやすくて、いままで過ごした国の中でもベストの一つに入っています。日本人はみんな優しいし、食べものもすごく美味しいです。

ジャーラ 高校から日本に来ているけど、もう日本に慣れているし、住みやすさもあって安全な国だと思っています。やはり高校時代から日本でプレーしていたからこそいまここでプロとしてバスケができていると感じていて、海外でプレーするよりも日本人としてこの国でプレーする方がやりやすいと感じています。もう10年以上、日本に住んでいるのもあって日本人のことも日本のことも理解できているのも大きなポイントですね。

―ウィル選手は日本でのプレーも長いですが、日本食で好きなものはありますか。

ウィル ラーメンか寿司ですね。食べたいけど、食べ過ぎるとすぐに体重が増えてしまうから少し控えるようにしています。それでもチャンスがあるときは食べたいといつも思っています。

―ジャーラ選手はいかがですか。

ジャーラ 日本の食べものというよりも、宗教の関係で食べられないものがあり、ラーメンもそのひとつです。寿司は最近食べるようになりました。日本の食べものというよりは、実は家で結構料理は作っています。自分で買い物をして、食べたいものを作るようにしている感じですね。自慢の料理はパエリアです!パエリア用の鍋を買って本格的に作っています。料理は毎日ではなくても、週に2日から3日くらいはやるようにしていて。妻が作ってくれますし、僕自身が作ることもあります。

―自ら料理をするということですが、日本料理で美味しいなとか思ったものはありますか。

ジャーラ 寿司もそうだけど、やっぱり焼肉とかしゃぶしゃぶは美味しいですね。

―ウィル選手も焼肉は行かれたりするのですか。

ウィル そうですね、本当に美味しいです!

―日本での生活で最初困ったことや工夫していることはありますか。

ジャーラ やはりどの国に行っても、文化や習慣の違いがあるので、困らないことは絶対にないと思います。例えば、先日の話ですが、チェフが初めて練習に来たとき、外で履くスリッパでアリーナに入ってきたんです。海外ではその習慣は普通だけど、日本では違います。その違いに慣れるまでが大変だと思いますが、自分がそういうことをいろいろと教えてあげられればと考えています。あとは、ベッドを用意するのに工夫していて、ダブルベッドを2つ繋げて気持ちよく寝られるようにしていたりもしてます。

ウィル 3つあります。1つ目は運転するのが日本は左側通行で海外とは逆なこと。2つ目は室内で靴を脱ぐという習慣。そして3つ目はドアの高さが低いから毎回しゃがんで入ることですね(笑)。そのままだとぶつかってしまうから。ジャーラが言ったベッドに関しても、確かに少し大変ですね。

チームが一つになって戦うために

―バスケの話に戻りますが、お二人は今シーズンこのロボッツで何を成し遂げたいと考えながらプレーしていますか。

ウィル 具体的な個人のスタッツなどの目標はなくて、チームが勝つために何でもやっていきたいと考えているし、貢献したいです。とにかく優勝することを考えています。

ジャーラ 最初にも言った通り、ここにチャンスがあると思って今シーズンもここでプレーすることを決意しました。昨シーズンは少し残念な結果になってしまいましたが、今シーズンは選手もさらに揃っていますし、トニーが来てくれました。B2全体を見てもこのチームは非常にレベルが高いと思うし、あとはコーチがやりたい新たなバスケを遂行して、チャンピオンシップをとにかく掴みたいです。そのために頑張っていくだけです。

―チームのスローガンでもある「RUN as ONE」に関してはどのような印象をお持ちですか。

ウィル このスローガンに関する想いはすごくいいなと感じています。「RUN as ONE」のもと、すべてが一つになって勝利に向かうことは大切ですから。

ジャーラ すごく当たり前のことが改めてスローガンになったという感じですね。これがないと本当のチームにはならないと感じています。でも大切なのは言葉自体を、そして言葉の意味を全員が常に理解して、心に秘めておくことです。全員が「RUN as ONE」になってチャンピオンシップに向けて突き進みたいです。

―最後にファンに向けてメッセージをお願いいたします。

ウィル ファンの皆様に会えることをすごく楽しみにしています。とても楽しいシーズンになると思いますし、皆さんにたくさんのことをお見せできるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。

ジャーラ 昨シーズンの新アリーナでの初戦では5,041人の皆さまが来場してくださり、本当に素晴らしい雰囲気を感じられました。自分はあのとき、怪我でコートに立てずに悔しい思いをしました。だから、今シーズンは満員のアリーナでコートに立ちたいです。今シーズンは自分も含めてチームでいいバスケをみせられるように努力していきますので、たくさんのファンにアリーナに来てもらいたいです。応援してください。よろしくお願いします。

日本を好きになり、日本人(帰化選手)になったジャーラ。そして、日本を気に入って長くプレーするウィル。日本人が大切にしてきた「和」の心が彼らの心にも宿っていると感じた。彼らは、チームの潤滑油のような役割を担いながら、いろいろな場面でチームの橋渡し役になってくれるに違いない。

PF.30 ウィル・クリークモア Will CREEKMORE
1989年4月9日 アメリカ合衆国生まれ
ミズーリ州立大学卒 205cm/104kg

C.12 ジャーラ 志多斗 Sidate DIARRA
1990年7月15日 セネガル生まれ
浜松大学卒 210cm/117kg

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