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[特別企画]福澤プロに聞いてみよう!福澤晃平×茨城ロボッツU15座談会

※本記事は、2019年9月21日刊行の『2019-20 IBARAKI ROBOTS OFFICIAL FANBOOK』に掲載したものです。

未来を担うU15チームの選手たちからの質問に、プロバスケットボール選手・福澤晃平が答える座談会を開催した。幸運にも大学卒業のタイミングでBリーグが誕生し、プロの道を選択した福澤。プロとして、そして人生の先輩として。福澤が送ったアドバイスとは。
インタビュー・文=鳴神富一 取材日=2019年8月8日

寺門優太 プロになるために大切なことは何ですか。

福澤晃平(以下福澤) 実際にプロになって大事だなと思ったのは、自分にしかない最強の武器をもつこと。すべて平均的にできるというのも大切だけど、自分は3Pシュートが得意だったので、とにかくアウトサイドシュートを磨いてきたんだよね。例えば、ドリブルに関しては強くなくても、3Pシュートが毎試合平均で5本入りますとなったら誰かはみてくれている。そして、常に勉強し続けることも大切で、常に考える力が身につくと、自分自身の短所を補っていく方法をみつけることができたりする。武器をもちながら常に学び続けて成長することが大事です。

高橋龍永 プロになるために欠かさなかったことはありますか。

福澤 大学時代は夜10時まで体育館が使えたけど、閉館するギリギリまでシューティングをしていました。それはいまでも続いていて、誰よりも早く練習場に行って、最後まで残って練習する。特に誰よりも早く行くというのは自分の中で譲れない部分かな。

沼田大輝 いま、嫌いなものは何ですか。

福澤 熱量が少なくてサボってしまう人はあまり好きじゃないかな。例えば大きな大会があるとする。全員優勝したいから、すごく練習すると思うんだけど、そういうときに全然練習しないとか、好き勝手にやる人は苦手だね。自分は大学時代にキャプテンをしていて、そういう人間を同じトーンに引き上げるのに苦労しました。

廣木啓人 3Pシュートを極めるために、どの部分に意識をもってシュートを打ち続けていますか。

福澤 自分は極めるという部分まではまだ到達していないけど、意識しているのは、2本連続で外さないようにすること。それと、身長が小さいからリリースを早くしているかな。あと参考にしているのがNBAのクレイ・トンプソン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)だね。彼はどんなときでも同じ動きでシュートを打っていて、シュート時のボディバランスがすごくいいんだよね。自分自身の真上に飛んで打っている。あとは練習で成功確率を数字で出すといいかもしれないね。前のチームにいたときは、毎日200本打っていて、ノーマークだったら80%は成功していました。少し手間だけど、パートナーをみつけて競争しあって成功率を出すのも良い練習になると思うよ。

西村優也 自主練習時に意識しているところはどこですか。

福澤 自主練習は自分ができないことをできるようにするための時間と考えてます。オフの5~6月は自分が苦手としていることを徹底的にやって、その後7月になってからだと苦手なことをやっても伸び率が少ないから、今度は得意なことをさらに伸ばすような練習をしています。時期によって内容も違うし、それぞれ目的をもってやることが大切かな。いまのみんなの年代なら、苦手なことに対してどんどん練習して、分からなければコーチに聞いて教えてもらえば良いと思うよ。

中島遙希 苦手なプレーは何ですか。

福澤 自分の中ではディフェンスが苦手かな。ロボッツだったら髙橋祐二選手とか見ていたらわかると思うけど、試合はもちろんだし、練習中でも本当にハードなディフェンスをしていて、すごいと思っています。だから自分は彼のディフェンスレベルにまで追いつかないと試合には出られないし、プレータイムをもらえないかなと考えてます。他にはフローターのシュートとか、いろいろと苦手なことはあるけど、一番最初に直さないといけないのはディフェンスですね。

佐々木駿輔 いままでマッチアップして、嫌だった選手はいますか。

福澤 自分がオフェンスのときに嫌だったのは、さっきも出てきた髙橋選手かな。前のチーム(Fイーグルス名古屋)では得点をとることが多かったんだけど、髙橋選手にマークされて、一度0点に抑えられたことがあって、本当に屈辱的で、ありえないゲームだったんだよね。逆にディフェンスをしていて嫌だったというか、次元が違いすぎたのが、シーホース三河の金丸晃輔選手。アーリーカップのときにマッチアップしたけど、シュートセンスが天才すぎて、どうディフェンスしてもすべて決めてきて。身長が自分の方が圧倒的に低かったのもあっていろいろと工夫したけど、それでもすべて決められて、すごすぎました。

石井息吹 福澤選手はなぜバスケをはじめたのですか。

福澤 父親もバスケをしていて、兄もバスケをしていて。最初はミニバスにも入っていなかったんだけど、たまたま試合を観に行ったときにチームの人数が足りなくて、いきなり人数合わせで試合に出させられて。実はそのチームのコーチは父親でね(笑)。当時は小学1年生だったかな。遊びでバスケしていたくらいだったから、練習もすごく嫌だったし、絶対に出たくなかった。だけど試合に出てみたらシュートを決めることはできなかったけど、とても楽しかった。いまでも親にいわれるけど、どうしてもその試合に出たくなくて号泣して拒否していたのに、いざ試合に出て終わったら「もう1試合やりたい」って言ったっていう(笑)。それは自分自身でも覚えていて、バスケは好きじゃなかったけど、やってみたら楽しかったという感じだね。

秋山周平 試合中にディフェンスとオフェンスで、どちらでも一番意識していることは何ですか。

福澤 ディフェンスでは自分のマークマンを意識しています。チームのスカウティングで毎週対戦相手の映像が届くから、相手の特徴を掴んでその特徴を潰すようにしています。オフェンスでは自分の武器である3Pシュートだね。多分相手チームも警戒しているのが自分の3Pシュートだから。シュートは1秒あれば打てるから、相手のディフェンスの隙を一瞬でも見逃さないようにしています。スクリーンを使って自分自身がノーマークになって打てるように意識したり、これからもその部分は継続すべきだと考えています。

菊池颯 シーズン中とオフシーズンでの、1日のスケジュールの違いを教えてください。

福澤 オフの期間は午前中に起きてウエイトトレーニングをしてから体育館に行って練習して、基本的に午前中には自主練習を終わらせていました。これといって決まりはなかったから、毎日やるわけではなく、週4日のときもあれば1週間やらないときもあったり。シーズンが始まる前のいまは朝9時から練習がスタートして、2時間のチーム練習をしてから自主練習をしていて。一回お昼ごはんを挟んでから、またトレーニングが始まる感じだね。午前中にバスケして、午後からはトレーニングというスケジュールが多いかな。

塙爽大 僕はいま怪我をしていてバスケがしばらくできない状況です。そういう挫折みたいなことを味わったとき、気持ちを高めるためにしていたことはありましたか。

福澤 自分はそれほど大きな怪我をしたことはないんだけど、一回だけ人差し指を脱臼したことがあって。それが高校時代のウインターカップ出場を決める県予選の1週間前で。その時点で県予選に出場できないことが決定したんだよね。最後の大会になる可能性もあるから、複雑な気持ちになったけど、仲間を信じてリハビリしたかな。怪我をしたことで新しく見えてくることもあって。足を怪我しているならドリブルのハンドリングを上達させる練習もできるだろうし、練習をみてチームメイトにアドバイスしてみたり、自分でバスケを俯瞰的に考えられる時間にもなるんだよね。少し辛い時期かもしれないけど、君がまわりを支えることができるし、逆にまわりのチームメイトも彼を支えてあげてほしい。焦らずしっかりと治すことに集中してリハビリに取り組んでください!

齋藤陽琉 スタートで出場するときとベンチから交代して出場するときでは、どんな気持ちの違いがありますか。

福澤 スタートのときは出るタイミング分かっているから、気合いを入れて出だしから足を動かしてディフェンスしながら相手のリズムを崩させようと考えています。控えから出場するときは、いつ呼ばれるか分からない。自分はベンチで結構リラックスして呼ばれたタイミングで気持ちを切り替えることができるから、ベンチからふざけながら盛り上げているタイプかなと。でも、人それぞれ自分に合うスタイルがあるからね。それをみつけてルーティンにしていけばいいと思うよ。

黒澤修太郎 試合前のルーティンってあったりしますか。

福澤 今シーズンは何もまだ決まっていないけど、昨シーズンは試合前に必ず腹筋をしてから自分が決めているドリブルの練習を一通りやって、最後にシューティングっていう準備していました。たまたま腹筋して試合に臨んだらシュートが面白いように入ったから続けていただけで、これもやっぱり自分自身でいろいろと試しながらみつけていくのが大切かなと感じています。NBA選手とかをみても、それぞれやっていることは違っていたりするからね。

藤倉康喜 緊張する試合で得意の3Pシュートが決まらないときなど、どんなことを思って決めようとしていますか。

福澤 たまに試合でもあるけど、自分が「入らない」と思ったら入らないから、まずは入らないと思わない。「次に打ったら絶対入る」みたいな感じで思っていた方がいいかなと。自分は緊張をあまりしないタイプで、経験を積んで試合慣れしたのが大きいと思ってるけど、高校時代はすごく緊張していたから、ディフェンスで足をものすごく動かして、気づいたら試合に集中していて緊張が解けた、ということがあったから、ディフェンスからゲームに入
るようにしていたかな。あとは自分のやってきたことを信じて「私は今日入ります」と楽観的に考えた方がいいと思う。その裏付けには自主練習とかでシュートを打ち続けていた結果、自信につながったというのがあるから。自信がつくまで練習し続けることが大事だと
思います。

青木凰介 福澤選手にも短所があると思いますが、そこを伸ばすためにどんな努力していますか。

福澤 本当にシュートしか打てなくて、ドリブルがすごく下手だったんだけど、いまはインターネットとかでもいろいろな練習方法が見られるし、例えばスター選手の練習方法を真似したりできるよね。実は自分にとって今シーズンすごくいいニュースだったのが、チームにボールハンドリングがめちゃくちゃ上手い二ノ宮康平選手が加入してきたことで。なんでかっていうと、二ノ宮選手がアルバルク東京にいたときの試合前のアップでのハンドリング映像がTwitterにあがっていて、それを必ず自主練習の前後に一回ずつやるようにして、続けた結果、苦手だったドリブルもある程度できるようになっていったんだよね。まずは毎日練習をやり続けることが大切だと思います。苦手なことに対して失敗を恐れず、怒られても毎日継続して積み重ねることによって変わってくるので。

中村啓輝 小さい選手が大きい選手から点をとるために大切なことは何ですか。

福澤 一番簡単なのは3Pシュートを身につけることかな。あとはドライブのことを考えたときにはフローターを覚えてみたりするのもありだね。日本人なら大阪エヴェッサにいる伊藤達哉選手は自分も参考にしています。だけど、今シーズンのヘッドコーチは、身長差関係なく体をぶつけて最低でもファウルをもらえるようにすることを強調しているから、どれだけ大きい相手でも、身体を寄せて相手にブロックをさせない状況でレイアップするとかも大事だと思います。そのあたりは日本人のプレーよりもNBAをみると参考になりやすいかもしれない。それでも難しい場合は、相手を横に揺さぶってジャンプシュートを打てるようにしてみるとかも方法としてはあったりするから。ラッセル・ウエストブルック(ヒューストン・ロケッツ)とかはすごく参考になると思う。実際自分も身長が低いから、いろいろと模索しながら悩んでいるけど、いろんなものを参考にしてトライすることが大事になるかな。

―それでは最後に福澤選手からU15の皆さんにメッセージをお願いします。

福澤 まずはこのユースチームで学んだことを活かして、上のカテゴリーなどでも実践してほしいです。そしてここからプロとしてプレーしたいという人が出てきたらすごく嬉しいし、そうなれば茨城ロボッツや茨城県全体の力にもなるので、ぜひ頑張ってほしいです。そして、自分でいうと、大学に行くときに看護師になりたいと思って、一度看護学科のある大学に行こうと考えていたことがあります。バスケ以外に何かやりたいことが急に変わることもあるので、そのときのためにも“勉強をする”のが大事になってきます。勉強するのは将来のためにすごく大切だと思うので、いまからでも目標を「文武両道」と書けるようにバスケと勉強を両立していきましょう。

最初は緊張して表情も硬かったU15の選手たち、そしてアドバイスを送るのは一番難しいですねと言っていた福澤選手。しかし、U15の選手たちの真剣な眼差しに触発され、福澤選手は自分の経験談も入れながら、丁寧にアドバイスを送っていた。福澤選手が伝えた言葉は、U15チームにいる16人の選手たちの心に深く刻まれたであろう。

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