東京オリンピック・パラリンピックを間近に控え、ダイバーシティ&インクルージョンがますます注目されています。都道府県としては日本初となるパートナーシップ宣誓制度を導入した茨城県。その茨城県をホームタウンとして活動する茨城ロボッツ初の試みとして「LGBTQ×スポーツ」をテーマにしたシンポジウムをアダストリアみとアリーナにて開催しました。

※LGBTQとは?
Lesbian(レズビアン 女性同性愛者)、Gay(ゲイ 男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル 両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー 性別越境者)、Queer(クィア 性的少数者の総称 またはQuestioning(クエスチョニング 性的指向や性自認を定めていない人)の頭文字をとり性的少数者の総称として使われる言葉。



開催に先立ち、2月14日(金)にロボッツの選手とスタッフを対象にしたLGBTQ研修を実施しました。

講師の杉山文野さんは、トランスジェンダーである自身の体験を踏まえ、LGBTへの理解や認知を広める活動を国内各地で行なっています。学生時代はスポーツに熱中し、元フェンシング女子日本代表の一面も持っている杉山さん。元アスリートの経験から、学校やスポーツ界が抱える課題を提起しました。

社会は多様化していくのではなく、すでに多様化しているもの。これからは、個々人が柔軟に対応できる能力が求められている。スポーツには発信力がありアスリートは社会にとって憧れられる存在。クラブチームとして地域にいい影響力を与えてもらいたい」と語りました。

シンポジウム「スポーツとダイバーシティ ~誰もが暮らしやすい街、茨城/水戸を考える~」

2月15日(土)には、アダストリアみとアリーナ内の会議室にてシンポジウム「スポーツとダイバーシティ ~誰もが暮らしやすい街、茨城/水戸を考える~」を開催しました。

「スポーツとダイバーシティ ~誰もが暮らしやすい街、茨城/水戸を考える~」

パネリスト:
大井川和彦 茨城県知事
滑川友理  水戸市議会議員
下山田志帆 茨城県出身 プロサッカー選手
堀義人   茨城ロボッツ/茨城放送 取締役オーナー

モデレーター:

柳沢正和  NPO法人グッド・エイジング・エールズ
杉山文野  NPO法人東京レインボープライド共同代表

モデレーターを務めたNPO法人グッド・エイジング・エールズ 柳沢正和さん(左)と大井川和彦 茨城県知事(右)。(©IRSE/Akihide TOYOSAKI)


昨年、都道府県としては日本初となるパートナーシップ宣誓制度を導入したことでも話題となった茨城県。

大井川知事は制度導入について、「県単位での導入をきっかけに自治体も動きはじめている。保守的な意見もあったが、議論すると根底には理解が浸透していないことが障壁となっている。つまり無知が偏見を生んでいるということ。浸透とともに輪が広がり理解が進むと感じている」と語りました。

大井川和彦 茨城県知事(左)、水戸市議会議員の滑川友理さん(中央)、茨城県出身のプロサッカー選手下山田志帆さん(右)。(©IRSE/Akihide TOYOSAKI)


水戸市議会議員の滑川友理さんは、2019年レズビアンを公表して茨城県水戸市議会議員に立候補し初当選を果たしました。パートナーシップ宣誓制度スタート初日に申請したことでも話題に。

同性同士では結婚もできず家族として認められない。愛する人と将来を共にしたい、何か形にできないかと考えていたところ、制度を耳にして嬉しくて涙が出た。宣誓書をいただき大切に額縁に飾っている」とご自身の思いを話してくださいました。

モデレーターのNPO法人グッド・エイジング・エールズの柳沢正和さんは、さまざまな企業やそこで働く人々を巻き込みながらLGBTが働きやすい職場づくりを目指す「work with Pride」プロジェクトを推進しています。「ダイバーシティ(多様性)が企業文化として根付く企業も年々増えてきている。現在300社以上でだれもが平等な福利厚生を導入している。一方で、スポーツ界ではまだまだ導入が遅れているのが実情だ」とスポーツ界に根付く課題を提起しました。

スポーツ界と組織に求められるダイバーシティ(多様性)

茨城ロボッツの掘オーナーは「多様性を認め合ってさまざまなあるべき姿で社会を構築していくことが大切。スポーツも多くの人の感動を伴い、選手に憧れを持つ。茨城を冠するプロスポーツチームとして、一つのロールモデルとして役割を担い発信していきたい。

多様性があり個性が輝く組織のほうが強くなると信じている。仲間を増やすことで差別・偏見を排除するのではなく、豊かな組織を作っていくと、異なる文化のもとでクリエイティビティや発想が発揮できる。魁の地・水戸からどんどん行動し発信していきたい」と、とスポーツと組織に求められる多様性の大切さについて語りました。

©IRSE/Akihide TOYOSAKI

結城市出身でプロサッカー選手の下山田さんは、2019年2月にツイッターで同性のパートナーの存在を公表しました。

去年5月まで2シーズンドイツのクラブチームでプレーしていた。現地は同性婚の人が違和感なく暮らしていたことに驚いたし、男性と女性どちらが好きなの?と聞かれて生きやすさがあった。日本では「彼氏いるの?」と聞かれてずっと苦しい思いがあった。公表の理由は、自分にも他人にも嘘をつき続けることが苦しかった。

公表してから、たくさんの当事者の選手からダイレクトメールをもらった。『所属チームの指導者にいじられるのがストレスに感じる』『チームメイトに好きな人がいるが誰にも相談できない』『生理になった時に着替えに困る』など。

周りは見えないだけで人間関係や自分の体のことですごく悩んでいる。皆の思いを知ってもらいたいのが私個人のいちばんの思い。スポーツチームをあげて『いろんな人がいるよね』と多様性を受け入れる社会になってほしい」と思いを話しました。

©IRSE/Akihide TOYOSAKI

生まれも育ちも水戸の滑川さんは「水戸で暮らして33年間、いろんなバッシングも応援ももらった。市議会議員として活動しているが、『絶対に同性愛を許さない』と指をさされたこともある。けれどそれも無知が根底にある。主張することも大事だが、個人それぞれの正義があるので、誤解をひとつひとつ解いていく。それが私の仕事だと思っている。

水戸の皆さんがそれぞれナチュラルに生きる街になれたら。そのためにもまずは知ってもらう活動を地道に続けていきたい。黄門祭りではパレードがあるが、そこでレインボーの旗を大きく振れる日がいつかきたら」と今後の夢を語りました。

2020オリンピック・パラリンピックに向けて

©IRSE/Akihide TOYOSAKI

2020オリンピック・パラリンピックでは、茨城カシマスタジアムがサッカーの試合会場になることが決定しています。

大井川知事は「オリンピックは皆が注目する素晴らしい場。行政も一歩踏み出したが、制度の次の課題は個人の当事者がありのままの姿で生きていけること。よりよく暮らせるようサポートしていきたい」と今後の抱負を述べました。

下山田さんは「当事者で困っている人が多い一方で、私は女子サッカー界に16年いるが、仲間がいる安心感を持ってプレーしていた。サッカーの世界で“ダイバーシティ=個人が輝く”を実感してきた。“安心感”が輝くための原動力ではないか。

指導者とのコミュニケーションなどもチームに所属する上で重要だし、スポーツ自体も楽しくなる。チームで一緒に戦い、日々の楽しさがスポーツの楽しさにつながる。この空気が広がっていったら楽しめる選手が増える。いろんな年代のスポーツに広めていけたら」と思いを語りました。

 

茨城ロボッツは今後もダイバーシティの重要性をより広く市民・県民の皆様に知ってもらうきっかけをつくり、LGBTQに限らず誰もが安心して暮らすことのできる街づくりのため、積極的な取り組みを続けてまいります。
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