【AFTER GAME】 2020-21第17節 奈良戦(1/23~24)~キャプテンが募らせた危機感。一戦必勝を合言葉に~

B2リーグもシーズン後半戦がスタート。その初戦、ロボッツはホームにバンビシャス奈良を迎えた。後半戦、またポストシーズンを見据えるとひとつでも多くの勝利がほしいロボッツではあったが、GAME1を85-90で敗戦。GAME2を102-72で勝利し、今季3度目のカード連敗は阻んだものの「痛み分け」は望んでいた結果ではなかったはずだ。B1というステージに駆け上がるために、辛い時期に差し掛かっているのかもしれない。だが、壁は越えられる。それを言い聞かせ続けてほしいと感じる2日間だった。

キャプテンが鳴らした警鐘。その中で残した爪痕

「弱いロボッツが出てしまいました。」

GAME1を終えての記者会見で、#25平尾充庸は開口一番、こう切り出した。この日のロボッツは、立ち上がりから奈良にリードを作られていく。相手のビッグマンたちを中心にインサイドへのアタックを止められず、外国籍選手3人全員に2桁得点を許した。一方、ロボッツのオフェンスは、特にアウトサイドからのシュートが入らない。この試合全体で27本の3ポイントシュートを放ったものの、成功は4本。成功率は14.8%と、本調子とは遠いものになってしまった。攻守ともに、どこかちぐはぐな雰囲気を残したまま進んでしまった一戦。平尾は試合後、強い口調でチームに奮起を求める言葉を残した。

「リバウンドや、相手にセカンドチャンスを与えてしまった点、他にも自分たちのシステムを遂行できなかった点などがありますが、誰のせいというわけでもありません。特に最近のGAME1の内容が悪いという状況の中で、『GAME1から大事に戦おう』と言っているのに、それができない。なぜできないかというところに目を向けていかないと、単に『危機感』や『エナジー』といったところだけの問題ではないような気がしていますし、取り返しの付かないことになってしまいます。」

また、平尾は「ここ一番」という場面でのプレーが勝敗を分けてしまう可能性にも言及した。

「トータルの数字だけを見れば、奈良さんに勝っている部分はあります。しかし、ターンオーバー、リバウンド、3ポイントと、勝負どころで見るとやられ方が悪い。一人が一つの場面を止めたから良しとするのではなく、連携して相手の流れを止めないといけないんです。」

敗戦の中、光明となったのは最終・第4クォーターだった。チームになんとか勝利をもたらそうと、ロボッツは#13中村功平、#29鶴巻啓太など、運動量が豊富な選手たちをコートに送り出す。この起用に選手たちが応え、ロボッツは徐々にビハインドを縮めていく。試合終盤には一時2点差まで追い上げ、爪痕を残すこととなった。

試合後、ミーティングを終えた選手たちに悲壮感は漂っていなかった。どこか興奮の余韻が残るアリーナで、ケガのためこの試合にエントリーしなかった#6小林大祐は強度の高い練習に取り組み、中村や鶴巻など、若手選手たちは居残りでシューティングに励んでいた。中村は、「外してしまったシュートもあったので、練習しなくてはと思っていた」とひたむきさを見せた一方で、鶴巻は、翌日に向けて選手同士でこんな会話があったと明かす。

「一緒にシューティングをしていた福さん(#2福澤晃平)から、『第4クォーターはよくやってくれた』と言われました。それと同時に『もっと積極的に、アグレッシブになってもいい』とアドバイスをもらいました。」

今シーズン、これまではベンチから試合の流れを変えるべく出番を掴んでいた中村と鶴巻。この2人の躍動ぶりが、GAME2でチームを一気に勢いづけることになった。

大胆なメンバー変更。初スタメン組が躍動

GAME1の敗戦を受けてリチャード・グレスマンHCが出した答えは、かなり大胆なものだった。前日の第4クォーターで、ロボッツに試合の流れを引き戻すべく奮闘した、中村、鶴巻、そして#4小寺ハミルトンゲイリーの3人を今季初のスターターとして起用することを選択したのである。このメンバー変更の意図に関して、グレスマンHCは試合後、このように語っている。

「GAME1で20点差から大きく追い上げた5人を、起用しないわけにはいかないと思っていました。現状ではベストなラインナップだと考えて起用に至りました。」

ロボッツは試合の入りから強度の高いプレーを見せ続け、ディフェンスで思い切りよく相手をけん制していく。奈良の#1大塚勇人がボール運びをする段階で、#11チェハーレス・タプスコットが献身的にディフェンスをしていったことも、相手のミスマッチを誘った。スターターとして起用された若手選手たちも、足を動かし続けて相手に張り付き、自由にはさせなかった。「GAME1の出番の延長だと思ってプレーをしていた」という中村は、スターター起用について、こんな意気込みもあったと話す。

「ここ最近、ロボッツが負けるときはどこか雰囲気が重たいまま、ズルズルと行ってしまうような感覚がありました。そんな中、少しでも僕らの若さを活かして、スピード感あふれるバスケットを展開していこうという話を鶴巻としていました。」

オフェンスでは小寺がローポストへ意表を突くパスをたびたび送り込み、ゴール下に潜り込んでいたタプスコットの得点をアシスト。この試合、タプスコットは獅子奮迅の活躍を見せ33得点、フィールドゴール成功率は実に92.9%に達した。4つのクォーターすべてでリードを奪ったロボッツは、30点差を付けての大勝を飾った。

1勝1敗でこのカードを終えたロボッツ。順位を争うライバルたちも負けじと食らいつく状態が続き、プレーオフを見据えた戦いは激しさを増す一方だ。今後、ロボッツが勝ち残っていくために改めて何が必要か、中村は次のように語った。

「試合後のミーティングでも、GAME1で負ける状況は変えないといけないという話をしました。その上で、選手全員が意識を高めるということが必要です。また、ここまで僕らのようにプレータイムが長くない選手たちも、最後には力が必要になる場面も絶対に来ます。準備を続けて、試合でベストなパフォーマンスを出せるようにしないといけません。」

鶴巻も、「準備」の部分の必要性を説く。そこには、次の対戦相手に対する意識も見え隠れしていた。

「練習中から、お互いを高め合えるような強度の高い練習が必要だと思います。僕や中村みたいな若手が、練習からベテランの選手たちにアグレッシブに仕掛けていって、行動で示すことでチーム力を上げられたらと思います。特に次の越谷戦は平日の一発勝負なので、『2日目にアジャストする』などと言っていられません。練習から強度を高めて、ゲームに臨めたらと思います。」

大事な上位攻防戦。アウェーでライバルを撃破せよ!

ロボッツの次なる戦いは、アウェーでの越谷アルファーズ戦。東地区2位の座を巡っての直接対決となる。越谷は#5アイザック・バッツや#33クレイグ・ブラッキンズが力強くインサイドを固める一方で、#0畠山俊樹や#8長谷川智也など、ガード陣にも得点能力の高い選手が多く、どこからでも得点を奪える攻撃力の高さで、ここまでのB2リーグをかき回している。ロボッツをわずか1ゲーム差で追いかける状態なだけに、この試合には並々ならぬ気迫で向かってくることだろう。

対するロボッツも、多彩な攻撃パターンを見せることで勝機を見出したい。アウトサイドからのシュートのほか、機動力を活かしたアタック、また時には肉弾戦を覚悟でゴール下で粘り強く戦うことが必要となってくるだろう。キーマンとなるのは、ロボッツが誇るオールラウンドプレーヤー、#6小林大祐。内外から相手を撹乱させ、ロボッツを勢いづけるプレーを見せられるか、注目だ。

プレーオフでの戦いも見据えて考えた際、ホームゲームの開催権を得られるなど、「2位以上」であることの意味は大きい。この一戦、何が何でも勝ち取るという芯の強さを見せ、アウェーゲームで勝利を収めてほしい。

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