取材・文:茨城ロボッツ text by IBARAKI ROBOTS
写真:茨城ロボッツ photo by IBARAKI ROBOTS
茨城ロボッツでは、皆さまと共にバスケットボールを通じて地域を元気にする地域貢献活動「M-HOPE(~みんなの希望~)」M-HOPE(~みんなの希望~)に取り組んでいます。
2025年11月30日に、選手・コーチ・スタッフが一丸となり「みんなで地域の未来のために!」を合言葉とした「M-HOPE DAY」として、地域の皆さまとのイベントを水戸市・つくば市・ひたちなか市・牛久市の4市町村にて、6種の活動を実施しました。
その中の一つ、#1 小島 元基選手が母校「つくば秀英高等学校」を訪問し、練習後の後輩たちとバスケ談義に花を咲かせた「座談会」の様子をお届けいたします。
#1 小島 元基の原点とスタンダード
座談会にはバスケ部の3年生男女4名と1年生男子1名の合計5名が参加しました。
プロの世界で活躍する偉大な先輩を前に、やや緊張した面持ちでしたが「茨城ロボッツの小島元基です。ニックネームは、小さい頃から『ゲンちゃん』って呼ばれてます。今日はゲンちゃんでお願いします。」という#1 小島選手の自己紹介で表情が緩み、リラックスした雰囲気で座談会がスタートしました。
#1 小島選手は自身の高校時代について、「どんな選手だったかと言われれば、本当に好き勝手にやっている選手だった。」と、照れくさそうな笑みを浮かべました。
当時は「自分が点を取りに行く、ずっとボールを持っていたい」という強いエゴを持ち、周囲もそれを許容するほどの圧倒的な自信に溢れていたと振り返ります。
日々の練習でも「かっこよくドリブルしたい。」「強くボールを突きたい。」といった、純粋でシンプルな向上心に突き動かされ、特に一対一の勝負に明け暮れる毎日だったと言います。
また、さらに上のレベルを目指す上では、全国大会という舞台を経験し、自分たちのスタンダード(基準)が書き換えられることの重要性を後輩たちに説きました。
「全国に出れば戦略や戦術だけでなく、対戦相手の堂々とした立ち振る舞いや振る舞いのレベルが全く違うことに気づく。そして上手い選手を目の当たりにして『これではダメだ』と肌で感じる経験こそが、成長の大きな糧になる。」と語りました。
現在はプロとしてチームのルールを徹底することや正確なステップを踏むことなど「起きている現象やゲームの流れに対して正確にプレイすることを大切にしている」と、自身の揺るぎないスタンダードを明かしました。
さらに、自身の代と現在のつくば秀英高校を比較し「自分たちの時は県大会のベスト4を目指してやっていたレベルだったけれど、今の君たちは当たり前のように全国レベルで戦っている。それは本当に誇らしいことであり、今の環境にいられることに感謝してほしい」と、レベルアップした母校の後輩たちに惜しみない称賛を送りました。

#1 小島選手の話しを真剣な眼差しで聞き入っていた生徒たちは、現状の報告としてチーム一丸となってインターハイに出場した経験を誇らしく語りました。#1 小島選手が「全国に出てどうだった?」と身を乗り出して問いかけると、生徒たちは「全国の強豪校に、あと一歩の1点差で惜敗してしまった。その時のとてつもない悔しさが、自分たちの技術や知識をさらに引き上げるための大きなエネルギーになった。」と、当時の熱を帯びた表情を見せました。
実際に全国の舞台に立ったことで、対戦相手の堂々とした立ち振る舞いや、一つひとつのプレーの精度の高さ、緻密な戦略などに触れたことで「今の自分たちに足りないものや、これから目指すべき高い水準を再確認できた。」と気持ちを引き締めました。
#1 小島選手も後輩たちのポジティブな発言に対し「その悔しさは絶対に無駄にならない。次への一番のエネルギーになるはず。」と、自身の経験を重ね合わせるように力強く頷いていました。

プロの視点から贈る、後輩たちへのアドバイス
5名の後輩たちから寄せられた等身大の質問に対し、#1 小島選手はプロの視点から一人ひとりに真摯に答えました。
- Bリーグで使われているポイントガードのポイント、プレータイムを勝ち取るための意識、そしてオフの過ごし方を教えてください。
渡部 開さん(高校3年生/男子) -
Bリーグにおけるポイントガードの役割
今のBリーグを見ていると、スピードがある小柄な選手や、ディフェンスが非常に優れた選手、あるいは圧倒的な得点力を持つガードが活躍していると感じています。最近のバスケットボールは「誰でもハンドラー(ポイントガード)ができる」という考え方に変わりつつあり、特定のポジションという概念が少しずつ薄れている部分もあります。
それでも、やはりスピード、ディフェンス、得点力のいずれかにおいて強力な武器を持っていることは、今でもガードとして起用されるための不可欠な条件なのだと考えながらプレーしています。
プレータイムを勝ち取るための意識
自身のキャリアを振り返ってみても、「プレータイムを勝ち取ってやろう」と強く執着したことはあまりありません。それよりも、ディフェンスを徹底する、オフェンスで正しい動きをするといった、目の前の現象や一つひとつのプレーを正確かつ強力に遂行したいという意識をずっと持っていました。そのような意識を積み重ねてきた結果が、現在のプレータイムに繋がっているのではないかと考えています。プロとしてのオフの過ごし方
オフの日は、趣味のカメラを持って散歩をすることが好きです。若い頃はオフの日でもつい動きたくなってしまうものですが、プロは試合数が非常に多いです。疲れを翌日に残さないよう『休む時はしっかり休む』とメリハリをつけることが、選手生活を長く続けるためには本当に大切です。 - 指導者との信頼関係の築き方や、プロのコーチから受けた印象的なアドバイスはありますか?
井上 颯さん(高校3年生/男子) -
指導者との信頼関係の築き方
信頼関係を築くために何より大切なのは、やはり『プレーで見せる』ことです。コーチの指示を忠実に実行し、サボることなく真剣に打ち込む姿を見せる。そうした姿勢を貫くことで、言葉を介さずとも自然と信頼は芽生えるものです。
もちろん、信頼は1、2ヶ月で簡単に築けるようなものではなく、時間をかけて積み上げていく必要があります。
そしてもう一つ重要なのが、コミュニケーションです。話す内容はバスケットボールに限らず、例えば『昨日の夜、何を食べたんですか?』といった日常的な会話でいいんです。そうした積極的な対話を重ねることで、信頼は少しずつ深まっていきます。
『プレーで示すこと』『時間をかけること』『対話を重ねること』。この3つの要素は、コーチとの関係に限らず、あらゆる人間関係において通じる大切なことだと僕は思っています。プロのコーチから受けた印象的なアドバイス
コーチングには一種のセンスが必要だと思います。特に選手の心理に精通したコーチは、常に選手と心でつながっているような状態を築き、絶妙なタイミングで言葉をかけてくれます。
以前、僕もシュートが全く入らなくなり、打つことさえ嫌になってしまった時期がありました。その時、当時のヘッドコーチに呼び出され、「お前がそのシュートを決められることを、俺は知っている」と言葉をかけられたんです。これは技術的な指導というよりも、まさに心のケアでした。
プロの世界では、こうした精神的なスキルの重要性は増していきます。選手の心に寄り添い、メンタル面で的確な助言をくれるコーチの存在は、僕にとっても非常に大きな支えとなりました。
- これまで指導を受けた中で、特に印象に残っている言葉を教えてください。
横須賀 健さん(高校1年生/男子) -
ミニバスから始まり、中学、高校、大学、そしてプロに至るまで、出会ったすべてのコーチの言葉が、僕の心の中にずっと大切に残っています。プロの世界に入ってからは同じ指導者のもとでプレーする期間が長かったこともあり、特定のフレーズだけを一つに絞り出すのはなかなか難しいのですが……。
でも、ルーキー時代のコーチがくれた言葉は、今思い出してもすごく心に響いています。まだ経験の浅かった僕に『10本打てるチャンスがあると思ったら、迷わずお前が10本すべて打て』と言ってくれたんですよね。その一言で『自分はこれほどまでに信頼されているんだ』と強く実感できました。その時の熱い感覚は、今でもパッと頭に浮かんでくるくらい鮮明に残っています。
一方で、プロとしての本当の規律やプレーの『正しさ』というものを、言葉だけでなく全身を使った表現で叩き込んでくれたコーチもいます。ですから、一概に『これ一つ』と決めるのは難しいですけれど、今改めて質問を受けて感じるのは、これまで出会ったすべてのコーチに教わったことの積み重ねが、今の『小島元基』を作ってくれているんだな、ということですね。
- 試合前後のルーティンや、トレーナーとの信頼関係において大切にしていることは?
井村 悠愛さん(高校3年生/女子) -
事前準備に関しては、ゴムチューブを使ったトレーニングなどのルーティンを確立しています。
体のケアについては、トレーナー任せにせず自分で行う『セルフケア』を最も大切にしています。もちろんプロにはトレーナーに頼る選手も多いですが、僕は自分の手で直接体に触れてケアをすることで、『今日は怪我が起きそうだな』とか『今のコンディションはどうかな』といった微細な変化に、自分自身で気づけるようになるからです。
また、トレーナーをはじめとするスタッフに求めるものを一言で表すなら、それは『姿勢(アティチュード)』です。そして、当たり前のことのようですが非常に重要なのが、『間違いをしないこと』です。
例えば、僕がずっと『左膝が痛いんです』と相談していたのに、いざケアが始まる時に右膝から触り始められたら、『さっきまでの僕の話を聞いていなかったのかな?』とか『自分の体を真剣に考えてくれていないのかな?』と不審に思ってしまいますよね。
人間ですから間違いは誰にでもあるものですが、だからこそ日頃の会話を大切にし、一つひとつ信頼を積み重ねていくことが何よりも重要だと考えています。 - 怪我をした時のモチベーションの保ち方や乗り越え方を教えてください。
松本 有姫さん(高校3年生/女子) -
これまで複数回の手術を経験していますが、一番最初の時は正直かなり落ち込みました。怪我の程度が自分では判断できず、「もう以前のようにバスケができないのではないか」と、自分だけが取り残されたような強い不安に襲われたこともあります。しかし、正しいリハビリに取り組み、周囲のサポートを受けながら、自分自身の気持ちを強く持ち続ければ、必ずまたコートに戻ってこられるということを、1回目の経験で学びました。
それ以降は、怪我の状態が判明した翌日にはもう気持ちを切り替えて、「今、自分にできることは何か」を考えるようにしています。例えば、「今日はリングジャンプはできないけれど、代わりにこのトレーニングをやろう」という風に、目の前にある一つひとつの課題をクリアしていくことに集中しました。
復帰まで「あと1年かかるな」といった先のことを考えすぎて不安になるのではなく、シンプルに「今日、何をやるべきか」を考えて取り組むことこそが、復帰への一番の近道だと思っています。
最後に、#1 小島選手の考える「セカンドキャリア」について尋ねてみました。
自身の引退後について、「正直まだ、何をやるのか答えは分かっていない。」と率直な心境を明かしつつ、「珈琲が好きなのでバリスタになりたいとも思っているし、教員免許も持っているので学校の先生をやっているかもしれないし、趣味が高じてカメラマンをやっているかもしれない。」と、複数の可能性を挙げました。
しかし、どのような道に進むにせよ#1 小島選手が最も重要だと考えているのは「人との繋がり」だと語ります。
「技術を磨くことと同じくらい、人との繋がが大事。先輩や後輩、仲間との繋がりを疎かにしないことが、セカンドキャリアに必ず関わってくる。」と真剣な表情で話し、「周りの人たちが助けてくれたり、逆にこちらが助けたり。そうした人との繋がりが、次の道を決める時の力になる」と、人生で培ってきた人間関係が人生の転機においての支えになることを伝え、母校での対談を締めくくりました。


座談会終了後、練習見学に訪れていた小学生たちに声をかけバスケを楽しむ#1 小島選手は、先ほどまでの厳しいプロの顔から一変、優しい「お兄さん」の表情で子どもたちと一緒にボールを追いかけていました。
憧れのプロ選手に初めは緊張気味だった子どもたちも、#1 小島選手の気さくな振る舞いに元気いっぱいのプレーを見せてくれました。


思い出の校舎を ふらりと撮り歩き
カメラが趣味の#1 小島選手は、座談会の合間を縫って思い出の詰まった校舎内を自らのレンズで切り取りました。
コートで我々を魅了する激しいプレーとは違い、繊細な感性で母校の風景を納める#1 小島選手の様子をお届けいたします。









「人との繋がりこそが、次の道を決める力になる。」
#1 小島選手が後輩たちに贈ったこの言葉は、まさにM-HOPEが目指す『地域との絆』そのものです。
プロ選手としてコートで戦う姿だけでなく、こうした対話を通じて地域の未来を担う世代と繋がることこそが、茨城ロボッツがこの地に存在する意義であると考えています。
皆さまと共に取り組む地域貢献活動『M-HOPE(エム-ホープ) 〜みんなの希望〜』では、バスケットボールを通じて地域が元気になるよう、これからも地域の皆さまと共に様々な活動に取り組んでいきます。





