【ROOTs×茨城ロボッツ】車いすバスケと歩んだ「心のバリアフリー」の軌跡

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取材・文:茨城ロボッツ text by IBARAKI ROBOTS
写真:茨城ロボッツ photo by IBARAKI ROBOTS

茨城ロボッツは、皆さまと共に取り組む地域貢献活動「M-HOPE(エムホープ)~みんなの希望」を通じ、茨城県立医療大学の車いすバスケットボールチーム「ROOTs(ルーツ)」と連携して「心のバリアフリープロジェクト」を展開しています。
本プロジェクトは地方創生を目指すB.LEAGUEと、日本全国に広がるネットワークを持つ日本生命との共同事業「B.LEAGUE Hope × 日本生命 地域を元気に!バスケACTION」の一環として行われ、今シーズンは県内各所にて合計4回の体験会を実施してきました。

最終回となる2026年4月11日(土)は、ホームコートである茨城県立医療大学で車いすバスケ体験会を開催。高校生を対象とした車いすバスケで共にプレーする時間を通して、高校生たちに「心のバリアフリー」について考えるきっかけを届けました。

目次

車いすバスケで体験した 心のバリアと向き合うこと

それぞれの新生活がスタートしたばかりの4月11日(土)、茨城県立医療大学の体育館には、初めての体験に胸を高鳴らせる高校生たちの姿がありました。
この日は医療や福祉分野に関心のある高校生を対象とした体験会を企画し、1年生から3年生までの女子高校生4名が参加しました。

少し緊張した面持ちの高校生を、体験会の企画・運営を努める同大学の車いすバスケチームROOTsの学生たちが笑顔で出迎え、体験会がスタートしました。
ROOTsのメンバーが車いすの操作やボールの扱い方を丁寧にレクチャーしていくうちに、最初はぎこちなく動いていた高校生たちも少しずつコツをつかみ始めました。
パス・ドリブル・シュートの基本練習の後にはミニゲームを行い、コート上ではROOTsの学生が高校生一人ひとりに声をかけながら、プレーをサポート。見事なシュートが決まる場面も生まれ、体育館には歓声と笑顔が広がりました。

見学していた保護者からは「娘が自分から『体験会に行きたい』と言い出したことに驚きましたが、実際に参加して『楽しい』と喜ぶ姿が見られて良かったです。競技用車いすは想像以上に軽く、未経験でも楽しめる素晴らしいスポーツだと感じました。」という声も聞かれました。
また別の保護者は「娘は医療系の進路を考えております。球技は得意な方ではありませんが、大学生の皆さんがとても親切に教えてくださり、すぐに馴染んで楽しそうにプレーしていました。最初は心配していましたが、活き活きとした娘の姿や大学生の華麗なプレーを見ることができ、親子で大満足の一日でした。」と振り返りました。

体験会の後半には大学生との交流会も行われ、医療・福祉の学びや大学生活についての質問が飛び交いました。
高校生にとっては進路を考える一歩に、そしてROOTsの学生にとっては自分たちの学びを伝える場となり、スポーツを通じて「心のバリアフリー」に触れる時間となりました。

「見ているだけでは分からなかった」高校生の本音

初めての車いすバスケに戸惑いながらも、最後には笑顔でコートを後にした高校生たち。短い時間の中で、心の中にはどのような変化があったのでしょうか。体験会に参加した4名の声をお届けします。

医療大は雰囲気が明るく、体験会もとても楽しかったです。車椅子バスケは激しくぶつかり合う映像を見て興味を持ちましたが、実際にやってみるとシュートが想像以上に難しく、外しても周りが盛り上げてくれて最高でした。バスケ経験はありませんが、車椅子なら自分にもできると感じたので、医療大に入学したらぜひ挑戦してみたいです。(3年生/女子)

先輩方が優しく丁寧に教えてくださったおかげで、すぐに操作に慣れることができました。車椅子を漕ぎながらのドリブルは難しかったですが、シュートが決まった時の嬉しさは格別で、友達にも「走るより希望が持てるスポーツだよ」と勧めたいです。運動はあまり得意ではありませんが、また機会があれば絶対に参加したいです。(2年生/女子)

車椅子バスケのイベントは珍しく、この機会を逃したくないと思い参加しました。最初は全くできないと思っていましたが、意外にもドリブルができ、シュートも何度か決まって本当に嬉しかったです。自分自身の足で走るよりも、車椅子の方がスピードに乗れる可能性を感じました。スポーツに自信がない子にもぜひ体験してほしいです。(1年生/女子)

車椅子同士がガツガツぶつかり合う迫力に惹かれて参加しましたが、想像以上に楽しくて驚きました。普段の体育の授業でやるバスケよりも、車椅子を使うことで身体能力の差がカバーされる気がして、自分でももっと速く動けるようになりたいと夢中になれました。新しい乗り物を覚えたような感覚で、あっという間の時間でした。(1年生/女子)

「ROOTs」の1年をたどる、活動報告会ダイジェスト

4月29日(水)には、茨城放送ビル2階茨城ロボッツのオフィスを会場に、ROOTsの一年間の活動報告会を行いました。参加した茨城県立医療大学の教職員、茨城ロボッツのスタッフが見守る中、今シーズンに実施した4会場のイベントの報告と、ロボッツとともに歩んできた一年の振り返りが行われました。

ROOTsのメンバー6名が登壇し、この一年で取り組んだ主な活動を写真やデータとともにプレゼンテーションし、イベントごとに「企画のねらい」「当日の工夫」「参加者からの声」「自分たちの反省点」などを整理しながら共有していきました。

最後には参加した教職員やスタッフも加わり、「心のバリアフリーを広げるため次の一年でできること」をテーマにグループディスカッションを実施。立場をこえて活発な意見交換が行われました。

【特別座談会】楽しいから車いすバスケを走らせる
「ROOTs」が語る激動の1年と僕らの原点

ROOTsの一年間の歩みを共有した活動報告会のあとには、プロジェクトを支えてきたメンバーによる座談会を行いました。
4回の体験会の企画・運営を担った19期生6名と、その土台を築いてきた18期生2名が参加。共にプロジェクトを完走した茨城ロボッツ・春日 結汰が聞き手になり、今シーズンの活動を振り返りました。
企画作りの裏側、体験会参加者との向き合い方、この一年で感じた自分自身の変化など、メンバー同士が本音で語り合いました。

「楽しむ」という根っこが、社会を変える力になる

春日:まずは今季のすべてのプロジェクト、本当にお疲れ様でした!4つの大きな体験会を振り返ってみて、どんな1年でしたか?

スズ:一言で言うなら、本当に「怒涛」でした!夏にロボッツさんと関わることが決まってからこのコアメンバーが集まったのですが、そこから4つの体験会を次々と企画・運営していったので。スケジュールがギリギリで大変な時期もありましたけど、時間が過ぎるのが本当に早かったです。

スズミ:マニュアルを一から作ったり、体験会のメニューを自分たちで考えたりするのは本当に手探りでした。だけど、体験会が終わる時は毎回、参加者もメンバーもみんなが最高の笑顔になれていたので、「大変だったけれど、とにかく楽しかった」という達成感でいっぱいです。

春日:なるほど、準備の大変さを上回る楽しさと充実感があったんですね。先輩たちが築いた土台があるにせよ、イベントを形にしていくのは並大抵の苦労ではなかったと思います。

ジュンナ:本当にその通りで、学生だけでこれだけのイベントを運営するなんて初めての経験だったので、最初は「本当に楽しんでもらえるのかな」と不安ばかりでした。でも、プロジェクトメンバーやROOTsの仲間がみんなで協力して動いてくれたからこそ、4回の体験会すべてを大成功で終えられたのだと感じています。

アイ:白状すると、最初は「大好きなBリーグのロボッツと関われば何かいいことあるかも」という、ミーハーで少し軽い熱量で立候補したんです(笑)。でも、初めて車いすに乗った参加者の方のあの弾けるような笑顔を見た瞬間、自分が1年生の時に感じた「車いすバスケってめちゃくちゃ楽しい!」という原点を思い出したんです。

シュウ(18期生):みんなの言葉を聞いて、本当に感動しました。僕たち18期生の代は本当にゼロの状態から手探りでこのプロジェクトを始めたので、何から手を付ければいいか分からない中、春日さんと一緒に必死に土台を築きました。後輩たちが車いすバスケの『楽しさを伝える』という根底の目的をしっかりと受け継ぎながら、素晴らしい運営をしてくれたことが何より嬉しいです。19期生は僕たちの代に比べて人数も多いけど、何よりメンバー間の連携やチームワークが非常に優れていたと感じます。

春日:こうして先輩からバトンを受け継いで、実際に「教える側」に回ったわけですが、運営のなかで一番苦労したことや、新しく見えてきた気づきはありましたか?

ジュナ:イベントの規模が大きくなるにつれて、小さなお子さんから大人まで幅広い方が来てくれるようになりました。参加者同士の体格差やパワーバランスが違う中で「全員が同じ空間で、安全に本気で楽しむためにはどうすればいいか」というメニュー工夫を考えるのが一番頭を悩ませたところです。

ジュンナ:アダストリアみとアリーナの体験会では、大人の方を対象にしたドリブルや3on3といった実践的なメニューを取り入れました。教える前は「ちょっと難しいかな?」と迷いもあったのですが、意外にも大人の方ほど「悔しいけれど、おもしろい!」と熱中してくださって。最初はできない歯がゆさが、できた時の楽しさに変わる瞬間を間近で見られたのがとても印象に残っています。

春日:大人の方が夢中になって悔しがったり喜んだりする姿は、まさに車いすバスケが世代を超えるスポーツである証拠ですね。でも、未経験の人に競技の魅力を言葉で「伝える」というのは、感覚だけではうまくいかない難しさもありますよね。

スズ:本当にその通りで、自分たちの「伝えるスキル」の未熟さに気づかされました。車いすをコントロールする基礎を、具体的に、丁寧に噛み砕いて伝える難しさを知ったことで、客観的な視点を持つ大切さを学びました。

スズミ:将来、医療の現場を目指す学生として、今回の経験は自分の「何ができて、何ができないか」を深く知る機会になりました。ただ自分が楽しくプレイするだけではなく、目の前の相手のレベルや状態に合わせたメニューを考えること。それはきっと、将来患者さんと向き合う時の姿勢にも繋がっていくのだと感じています。

春日:相手の目線に立って物事を伝えるプロセスそのものが、皆さんの専門性を磨く素晴らしいシミュレーションになっているのですね。裏方として支えたメンバーはどうですか?

アイ:裏方として記録写真などのデータを見返した時、どこを切り取っても参加者の皆さんが笑顔だったことが本当に嬉しくて。私はみんなが前で華やかに話してくれる分、スライド作成などに徹していたのですが,その笑顔を生み出すチームの一員になれているんだと実感できて、裏方ならではの「適材適所」の楽しさを知ることができました。

ジュナ:私は3つの大きな体験会で司会進行を担当させてもらったのですが、最初は不安だらけでした。でも、参加者の反応を見ながらアドリブを交えたり、全体の注目を上手に集めたりする「伝えるスキル」を現場で大きく磨くことができました。言葉で場を動かす難しさと楽しさを知れたことは、自分にとって大きな変化です。

ケンスケ(18期生・前代表):大勢の前で物事を伝えるプレゼン能力やリーダーシップは、将来みんなが医療の現場に立った時に必ず強力な武器になるからね。自分たちが楽しむ原点を忘れずに、ROOTsをさらに良いチームにしていってください。

ケイタ(代表):自分自身の「競技への理解」が一段と深まりました。基本や基礎を改めて見つめ直す、とても有意義な成長の機会になりました。

春日:皆さんの言葉を聞いていると、茨城ロボッツというプラットフォームを活用したことで、活動の幅が何倍にも広がり、一過性の地域活動を超えた価値を生み出せた実感が伝わってきます。

ケイタ:本当にそう思います。実は僕、サッカーをずっとやっていたので、どこかで「やっぱりサッカーが一番面白いな」という気持ちが心のどこかにあったんです((笑)。でも、この1年間ROOTsの代表としてロボッツさんと走りきって、最後の最後、子どもたちが全力で車いすを漕いでいる姿を見たときに「あ、やっぱり車いすバスケって、バスケットボールって、本当にすげえ面白いんだな」って心から再確認できました。

春日:車いすバスケの魅力を伝えたいという皆さんの純粋な情熱と、茨城ロボッツが「掛け算」となることで、単なる体験会を超えた大きな価値が生まれました。誰もが本気で同じコートを楽しめるこの素晴らしいスポーツの「種」を、皆さんは地域にしっかりと蒔いてくれました。これからはチーム内でも系譜を引き、地域を大きく動かしていく存在になってくれることを期待しています。

茨城ロボッツは地域貢献活動「M-HOPE」を通じて、これからもROOTsをはじめとした様々な地域の皆さまと連携し、学びと挑戦のフィールドを広げていきます。
これまでの活動から生まれた対話や気づきを大切にしながら、新たなシーズンでも一つひとつの取り組みをともに形にしていきたいと考えています。

バスケットボールという共通の土台の上で、プレーする人も、支える人も、応援する人も、誰もが互いを思いやりながら暮らせる社会の実現に貢献していきます。
私たちの取り組みを通じて、バスケットボールが人と人とを結びつける場であり続けるよう、地域の皆さまとともに歩みを重ねてまいります。

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