代表 山谷拓志による2018-19シーズン振り返り<後編>

2018-19シーズン振り返り 山谷拓志
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2017-18昨シーズンのスローガン『BE ONE』には、みんなの気持ちをひとつにする=BE ONE、B2制覇を目指す=BE No.1(ONE)、B1昇格を目指す=B1(ビーワン)という3つの意味が込められている。
今シーズンは、絶対『BE ONE』を成し遂げるという強い意志を込めた『WE MUST』を付け加えた。
B2制覇・B1昇格。今シーズンは、その目標を絶対に成し遂げることが全てだった。
その目標が果たせなかった今、茨城ロボッツ代表 山谷拓志はどのように考えているのか。
前編に続き、事業面での取り組みを中心に振り返っていく。

目次

熱を持ったブースターから追い風を受ける事業成長

戦績は振るわなかったが、事業の面では大きく成長することができた。トップライン(売上)は144%アップ(見込)、平均観客動員数が2,000人には達しはしなかったものの、昨シーズンと比べて18%アップと会場の雰囲気は目に見えて変化を感じる。

「チケット価格の見直しをしてもお客様が増えたこと、またグッズやグレードの高いファンクラブの売上が増えました。それは、コアなファンの皆様が増加したことや金額に見合う価値を茨城ロボッツに感じている方が増えたということだと思います。2017-18シーズンの最終戦(※1)で負けた悔しさ、その盛り上がりの余韻から、今シーズンのファンクラブ会員の募集を始めた際にはすぐにグレードの高い会員の定員が売り切れるということが起こりました」
※1:2017−18シーズンは終盤17連勝を記録して臨んだ最終戦で敗戦を喫し、プレーオフ昇格を逃した

今シーズンは、4月6日に新アリーナ『アダストリアみとアリーナ』がオープンしたこともあり、それなりの金額の広告費を投下してきた。成功したマーケティング施策はあったのだろうか。

「Webマーケティングと同時にアナログな広告戦略も行ってきました。茨城県には民放テレビ局や県域FM局がありませんので、地域フリーペーパーへの広告出稿や14万世帯へのポスティング、水戸駅改札に巨大サイネージ、国道沿いに看板を設置しました。アナログ施策の効果測定はできませんが、茨城ロボッツの認知を広げ、注目されるような仕掛けは出来たと思います。例えば、看板を見た人の記憶の片隅に茨城ロボッツが残っていると、家のポストに茨城ロボッツのチラシが入っていたり、フリーペーパーに茨城ロボッツの広告が出ていたり、たまたま見たNHK水戸放送局のニュースで茨城ロボッツが扱われていたり、会社の同僚から茨城ロボッツの試合を観に行った話をきいたりと、あらゆるところの様々な接点でロボッツの情報に触れる連鎖反応が起きていく。チケットを購入して試合を観に行くことが最終的なコンバージョンだとすれば、そこに至るまでにはWeb広告、SNS、アナログな施策…と厳密な効果測定はできませんが様々な接点での感化によりロボッツへの関心が増幅され、そのうちの何人かの方が最終的にチケットを買うという行動に至っているのだと思います」

スポーツ業界全体に言えることだが、デジタル領域に明るいチームはまだ多くはない。今シーズンの茨城ロボッツの新しい試みとして、デジタルに特化したマーケティング会社『株式会社M・デジタルマーケティング』を設立した。来シーズンの観客動員数を増やす新たな施策はあるのだろうか。

「観客動員は当たり前のことを着実にやることで確実に増えていくと考えています。チラシ配りをして、ホームページにわかりやすく情報を出して、利便性高くチケットが購入できる。勝つ負けるは確約できないにしても、極端な言い方ですが、100年もそのようなことを繰り返していけば時間に比例して観客動員数は伸びていきます。なぜ栃木ブレックスや千葉ジェッツの観客動員数が伸びているのかといえば、大前提として両チームとも10年程度の歴史があるからです。時間に比例して一定の動員数が増えていくとすれば、歴史が浅い茨城ロボッツは栃木や千葉に追いつかないことになってしまう。では仮に追い越そうと考えるならば比例直線の角度を上げてショートカットしなければなりません。そのためにはどうするのか。一番は勝利です。スポーツという争い事のコンテンツを価値の源泉としているわけですから、勝つことにこだわらなければそれは単なるスポーツを題材にしたショーになってしまいます。勝つ試合、勝てそうな試合、選手たちが勝つことに向かって全力でプレーしている試合というものをできるだけ増やすことが一番のコンテンツの価値になるので、そこに投資をすることが大切です。そしてそのコンテンツ価値をより増幅していくのがWebマーケティングやテクノロジーというツールだと思っています。Web広告やSNSを駆使して露出を増やし、興味を持っている人に少しでも情報が届くようにしていく。そうすることでショートカットして先行チームや上位チームに太刀打ちできるようになっていくのだと思います」

2018-19シーズンが終わったばかりだが、現時点で考えられる来シーズンの目標はどのように考えているのだろうか。

「まずはB1昇格しかありません。そして、もう1シーズンB2で修業をするわけですから、経営規模の成長を実現させB1で戦えるチームをつくることが重要だと思っています。過去にB2からB1に昇格したチームは翌シーズンにB2に降格してしまうチームがほとんど。昇格後すぐにはB1上位を狙うことは難しいと思いますが、強豪チームとも良い試合が出来るチームをつくれるようチャレンジしたいと思います。経営的なことでいえば、来年の売上目標は6.2億円を目指します。秋田ノーザンハピネッツがB2だった際の売上が6.1億円でB2の最高額ですので、その記録を更新したいですね」

残念ながらプレーオフの盛り上がりに加わることが出来ず2018-19シーズンを終えた茨城ロボッツだが、すでに2019-20シーズンに向けて動き出している。山谷の頭にあるのは、B1で上位チームと互角に戦っている茨城ロボッツの姿だ。そのためには、事業をさらに加速させ、チームにより投資出来るような体制づくりをしなければならない。
勝てるチーム、感動を与えられるチーム、喜びを分かち合えるチーム。
2019-20シーズンこそは、絶対『BE ONE WE MUST』。

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