アンソニー・ガーベロット(Anthony GARBELOTTO)ヘッドコーチ就任発表記者会見レポート

アンソニー・ガーベロット(Anthony GARBELOTTO)ヘッドコーチ就任発表記者会見レポート
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5月10日(金)、アンソニー・ガーベロット氏のヘッドコーチ就任発表記者会見がありました。
記者会見での質疑応答、個別取材からガーベロット氏(以下、トニーHC)の温かみのある人柄が垣間見られました。その様子をお伝えします。

目次

ヘッドコーチ就任発表記者会見

アンソニー・ガーベロット(Anthony GARBELOTTO)ヘッドコーチ就任発表記者会見レポート

マスコミの各社の皆様から頂いた質問に対して、トニーHCがお答えしました。

試合映像を観て抱いたロボッツの印象は

強みと弱みを含め、ポテンシャルがあり、手堅いチームだと思いました。ただし、勢い、ダイナミックさ、アグレッシブさなどのパフォーマンスがまだ足りていないと感じました

茨城ロボッツのヘッドコーチを引き受けるにあたっての決め手とは

しっかりとした組織で、新しいアリーナを持ち、B1に上がるといったビジョンをしっかり持っていることが決定的な要素だと思います。

ダイナミックさ、アグレッシブさが足りないとは

アップテンポなバスケットをすることと、選手を動かしボールをシェアするといった要素を出していきたいなと考えています。外国籍選手は世界中から探し出すことが出来ますが、日本人選手をどれだけ引き上げることができるのかを見ていきたいと思っています。

ディフェンスにおいてはアグレッシブに展開していきます。コートを広く使ってディフェンスに変化を加えていきたいと思っています。
オフェンスに関しては、一人の選手がアグレッシブにやるというよりも全体的にボールをシェアしながらやっていきたいと思っています。

茨城ロボッツの日本人選手に抱いているイメージとは

とてもいい印象です。
それぞれのマインドセット(思考様式)を向上させなければいけないなと感じています。
私のフィロソフィーとして、『一瞬一瞬において恐れないことが大事』というものがあります。
多くのチームは外国籍選手が試合の勝敗を左右すると感じていると思います。
日本人選手でも残り時間が少なくなった時、自信を持ってシュートを打ち切るといった心の準備というものを掲げていきたいなと思っていますし、それができると信じています。

得意としている戦術、チーム作りの経験をどのようにしてロボッツに伝えていくのか

ここにいる5人(堀オーナー、山谷社長、上原GM、トニーHC、岩下AC)と話し合い、選手の獲得をすることがまず第一です。固いディフェンス、リングに向かってテンポよく走るオフェンスが大事になってきます。
インサイドの強い5番選手を発掘しなければいけませんし、バックアップの出来る日本人選手も含めて探していきます。
大事になってくるのが適応力です。色んな状況に合わせた柔軟な適応力を高めなければいけません。
ここにいる5人が共通して持っている考えは、バスケットボールIQの高い選手を獲得することです。またファイトするというメンタリティを持っていることも大切です。フィロソフィーを浸透させていくことがB1昇格に繋がると感じています。

堅守速攻を中心にするチームにしていきたいのか

そうですね。賢くボールをシェアしていくということです。

具体的に何勝を上げたいという目標は

地区優勝するための目標としているのは、45勝することです。

日本で指揮する気持ちは

大変光栄に思っています。東南アジアでの経験はありますが、日本はまた違うなという印象があり、ぜひチャレンジしたいと考えていました。ロボッツには素晴らしいタイミングで来ることが出来ました。

選手起用について重視していることは

強いベンチメンバーが必要です。試合が2日連続ということを考えると、理想的には11、12人であるべきだと思っています。1日目で疲れている中、2日目はどう戦っていくか。60試合の中で疲労、怪我、ファールトラブル等でどうやって勝ち切るかというのが重要になってきます。
私は(試合で戦術だけを指示して勝利へ導く)ゲームコーチではありません。成功するためには60試合の中でどうやって勝っていくかというものを見つけ出すという準備していかなかればいけないなと思います。

トニーHCのバスケットボールスタイルに合っている選手は

自分の中で一人の選手を選ぶというのは厳しいです。自分がやるべきことは、全選手の持っているものを引き出すことです。練習を重ねていき、選手の能力や心の中にあるものを一人ひとり見ていかないといけません。

個別インタビュー

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ここからは、記者会見後に行われた個別取材での質疑応答をお伝えします。

ロボッツに足りないと感じている部分は

今シーズンの試合を数試合見た上で、自分であれば何が出来たかと言うと、もっとディフェンスを細かく組織立てて形にできたと思っています。今シーズンはスイッチが多かったです。もちろん、スイッチというのは素晴らしい戦術ですが、その一方でファイトオーバーだったりディナイがないということからも、ファイトのないディフェンスになってしまってました。そういった点は修正しなければいけないと思います。
ディフェンスで構造的にきちんとした定義を持つことが絶対に必要です。トランジションはよりクリエイティブにする必要があると思いますが、現状外国籍選手も決まっていませんし、日本人もまだ全て決まっていません。
外国人でとても強力なインサイドプレーヤーがロボッツに来るかもしれないですし、逆に日本人でもサイズが小さくてもフロントが取れたり、フルコートであたったり、ボールハンドリングが上手かったりいろんな選手獲得の状況が考えられます。
大事なのは構造的なディフェンスをしっかり落とし込むこと。どんな選手が来ても落とし込むことで、あらゆる戦術に対応出来ると思います。

自分のフィロソフィーとして最も重要なものは、信頼関係です。選手とコーチ、選手同士の信頼関係は一日にしてなりません。お互いをよく知って、お互いを信頼することで繋がることが出来ると思います。自分の後ろにディフェンスがいるということがわかっていれば、ヘルプがいるという信頼に繋がります。信頼のもとにディフェンスが構築されるので、信頼関係は重要だと思います。

選手のメンタル強化はどのようにしていくのか

ひとつひとつ積み上げていくことが大事です。戦うことであったりルーズボールであったり1対1であったり、お互いの心の強さが必要になってきます。
バスケットボール以外のところで出来ることは、チームで活動することです。アーミーアスレチック(注:チームビルディング研修のひとつ)などを通してチームで協力して成し遂げるといったアプローチが必要だと思います。

練習でメンタルを強くする方法論として、自分のドリルには必ず勝ち負けがあります。多くのドリルに勝ち負けを強調し、最終的に結果として報酬(勝利)がついてくる。そういったものを練習で多く取り入れますし、そいったものがメンタルの強さに繋がってくると思います。

新しい選手を獲得する上で、戦う人、かつ、勝ちに繋がることが出来る選手を獲得することが大事です。日本人選手でB2からB1にチームを押し上げた経験のある選手の獲得できればと思っています。

メンタル強化は、チーム全体対トニーHCで鍛えていくのか、それとも1対1で鍛えていくのか

まずはしっかり1対1で関係を構築していきます。そのあとチームとしっかり繋がります。
お互いの信頼関係を構築することが大事です。その後、チームアクティビティなどのコンビネーションになってくると思います。戦術も大事ですが、それよりもチームとしての文化を構築していくことが大事です。細部に『戦う文化』を組み込んでいくことが勝利の鍵になっていきます。
終わりまで戦い抜くこと、対戦相手を打ち負かすことを細かいことからやっていくことを文化として定着できれば勝利に繋がると信じています。

細かな部分が文化になっていくことの例えで、NBAの76ersのトレーナーがピーナッツバターとジャムのサンドウィッチを作り、振る舞ったという話が有名です。当日、きちんとした食事が用意されておらず、選手は試合前にジャンクフードを食べていました。試合前、選手にピーナッツバターとジャムのサンドウィッチを食べさせたところエネルギー溢れるプレーが出来たということが噂になり、NBAの全チームがピーナッツバターとジャムのサンドウィッチを食べ始めました。少ない投資で効果的にチームを活性化させることになったのです。ピーナツバターとジャムのサンドイッチという小さなことがエネルギーが溢れるものとしてチームの文化となったのです。『peanut butter jelly nba』で検索してみてください(笑)。

茨城に対するイメージは

日本に来る前にインターネットで茨城の写真を見ました。駅や町並み、景色の良い風景や海など、素晴らしい環境があるというイメージを持っていました。

好きな日本食は

うどん、寿司、鉄板焼きです。イギリスにいる日本人の知り合いが『イギリスの日本食は偽物だよ』と話していたので、本物の日本食を食べてみたいですし、楽しみにしています。
世界中の様々なところで文化や習慣を見てきてるので、変化には慣れています。しかし、昨日行ったうどん屋さんの券売機が新鮮でした。券売機に書いてある文字が読めなくて、Google翻訳アプリを使い、なんとかうどんを食べることができました(笑)。

コミュニティ全体をどのようにして盛り上げるのか

イギリスではサッカーが圧倒的な人気を誇り、次にラグビー、その次にクリケットが人気です。バスットボールはそこまで広く認知されているわけではありません。私は、若い人にバスケットの素晴らしさを伝えることが必要だと思い、これまでやってきました。

プロ選手は手の届かない存在で、なかなか接することが出来ません。そういったプロ選手が地域の人たちと関わることによって、地域の人たちがエネルギーを持つことが出来る。そういった働きかけをしていきたいです。

自分は運良くプロとしてコーチングすることができましたが、スポーツを通して若い人とつながりを持つことが大事だと感じています。スポーツを通して地域と繋がること、そして茨城県、水戸市というものが全国的に発信・認知されるような関わり合いを持っていきたいです。それがプロチームとしてのあるべき姿だと思っています。

その他、GM上原和人、代表山谷拓志、オーナー堀義人のご挨拶は、公式サイトを御覧ください。

今後もトニーHCと選手について、沢山取材していきますので、お楽しみに!

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