TSUKUBA PRIDE vol.2~大黒柱が導く有終の美~

写真:茨城ロボッツ、佐藤雅美

関東大学リーグ戦優勝10回、全日本大学選手権大会(インカレ)優勝5回の実績を誇る”筑波大学”。数多くのBリーガー、さらに日本代表選手も輩出する関東大学バスケ屈指の名門校として知られる。今年は新人インカレ優勝、さらに日韓学生バスケットボール競技大会「李相佰盃」では日本学生選抜に最多の4名の選手を送り出した。同じ茨城県のバスケットボールチームとして研鑽を積む筑波大学の関東大学リーグ戦の振り返りとともに、4年ぶりの優勝を目指すインカレへの意気込みを全3回(①吉田健司監督②木林優選手③小川敦也選手)でお届けする。

木林優
福岡大学附属大濠高校出身。高校3年時のウインターカップでは準優勝を果たし、ベストファイブにも選出。筑波大学入学後は、200cmの長身を活かしたポストプレー、柔らかいシュートタッチで放たれる3Pシュートを武器に活躍。大学2年時に、「FIBA U19ワールドカップ」に出場、4年時には男子U22代表として「FISUワールドユニバーシティゲームズ」に出場するなど、世界を舞台に躍進を見せる。

大怪我を経て飛躍のステージへ

200cmの長身ながら、柔らかいシュートタッチで放たれる放物線。さらに、機動力を活かしドライブイン、多彩なステップワークでの得点などオールラウンドに活躍するのが#2木林優選手だ。高校時代から輝かしいキャリアを送り、大学2年時には「FIBA U19ワールドカップ」、今夏には男子U22日本代表として「FISUワールドユニバーシティゲームズ」に出場するなど国際経験も豊富だ。在学中は怪我に苦しむも、今年は留学生を相手にしたエナジーあふれるディフェンス、力強いポストプレー、3Pシュートとオールラウンドに活躍。筑波大学が掲げる「ファイブアウト」のスタイルには欠かせない選手になっている。

ーリーグ戦全体の振り返りをお願いします

木林選手「リーグ戦序盤は良い試合もあり、チームとしても良かった部分は多かったです。ただ、良い時と悪い時の波、差が激しいことが課題としてありました。上位リーグに関しては、1勝しかできず、実力差を感じました。これから反省するべき部分も沢山あった大会だったと思います」

写真提供:佐藤雅美

一巡目では途中4連敗を喫するも、最後の5試合を見事5連勝で終え、地力を見せつけた。木林選手自身も19試合中11試合で二桁得点を記録。コンスタントに得点を重ねる姿は、まさに筑波大学の大黒柱としての責任が感じられる。それが顕著に表れたのは上位リーグ2戦目の日体大戦。206cmの留学生をインサイドに擁する日体大にも臆さず、この試合3Pシュート5本を含む29得点、8リバウンド。ゲームハイの得点で春のトーナメントの雪辱を晴らした。

ー日体大戦での大活躍もありましたが、リーグ戦全体のご自身のプレーを振り返ってみていかがですか?

木林選手「リーグ戦で対戦を重ねるごとに、自分のプレーの質も変わってきた実感があります。自信もついてきて、だんだん良くなってきた部分もありますが、それでもシュートが入ったり、入らなかったりの波は感じました」

ーその中でもリバウンドでの貢献なども多かった印象ですが、どのような意識を持っていましたか?

木林選手「日本人選手相手だったら積極的にリバウンドは狙っていました。ディフェンスリバウンドも自分が取ることが当たり前というか当然という意識はありました。ただ留学生を相手にする時は、自分が取るというより、自分が留学生をしっかり抑えて、周りに取ってもらうことが多かったです。40分間取り続けることが難しい部分もあるので、そこはチームメイトに助けてもらっていました」

写真提供:佐藤雅美

ー内外バランス良く得点できることが木林選手の強さだと思います。どういった考えでオフェンスの判断をしていますか?

木林選手「内外のオフェンスマッチアップ相手によって判断していました。日本人選手相手では、インサイドでのポストアップ、留学生相手では外のプレー、3Pシュートを増やしていました」

写真提供:佐藤雅美

200cmの身長ながら類まれな機動力と3Pシュートを持つからこその判断。さらに、筑波大学の「ファイブアウト」と相まってスピーディーな展開では優位に立つことができるだろう。そんな世代屈指のオールラウンダーとして4年目に存在感を放つ木林選手だが、大学2年時には前十字靭帯断裂を経験。苦しいリハビリの日々を送った。

ー前十字靭帯断裂を負うも、昨年復帰し、今年は序盤から活躍を見せています。どのようなリハビリでコンディションを高めていきましたか?

木林選手「最初は膝の曲げ伸ばしなど、地味なことを少しずつ行っていました。そこから段階を積み重ねて、ジョギング、ランニングをして、少しずつ膝を伸ばしていきました。地味なリハビリが多かったですが、その中でウエイトトレーニングは怪我した中盤から終盤まで頑張ろうと決めていたので、必死にやっていました」

ーウエイトトレーニングの効果を感じることはありますか?

木林選手「怪我する前は、弱々しかったというか、ポストプレーをするにも押し込めないことが多かったです。ウエイトトレーニングを経て、日本人相手だったら、フィジカルで優位に立つことができるようになりましたし、留学生相手でも、ディフェンスで抑えることもできるようになったので、トレーニングの成果を感じています」

写真提供:佐藤雅美

昨年のリーグ戦で復帰してからは、ユニバーシアードや「李相佰盃」など国際経験も多く積み、アウトサイドプレーの向上など、さらなる成長を遂げた。

ー日本代表として世界と戦うことで感じたことはありますか?

木林選手「フィジカルやボディーコンタクトの強さも感じますが、海外選手のフィニッシュ力が印象的でした。体は強いけど、シュートは柔らかいといった日本じゃ味わえない経験ができたので学びになりました」

一度は大怪我を負い、苦しい日々が続くも飛躍へのステップとしてしっかりと昇華。さらにレベルアップした木林選手のラストイヤーに期待が高まる。

写真提供:佐藤雅美

あの悔しさを忘れない

昨年のインカレはスターティング5に名を連ねるも、思うような活躍ができず、チームも悔しい初戦敗退。木林選手自身悔しさを抱え、ラストイヤーを戦ってきた。

ー昨年のインカレは悔しい結果に終わってしまったと思います。この一年、どのような思いで練習に励んできましたか?

木林選手「去年の悔しさは忘れられません。自分も主力で戦っていましたが、あの試合は不甲斐ない形で終わってしまったので、 ああいった形でシーズンが終わるのは、もう二度と味わいたくありません。あの悔しさを忘れることなく、日々の練習を過ごしてきました」

写真提供:佐藤雅美

ー木林選手自身、今年も優勝を目指す中で、どういった部分が重要になると思いますか?

木林選手「1番重要だと思うのは4年生の自覚や責任だと思います。自分が簡単なミスをしてしまったらチームとしても勢いが止まってしまうと思うので、下級生を引っ張っていかなくてはいけないという責任感を持ってプレーしたいです」

ープレー面で重要になってくるのはどこでしょうか?

木林選手「自分のところで言うと、フィニッシュ力を強めていきたいです。ドライブで中に切り込んだとき、合わせのパスをもらった時に、留学生がいても、シュートをしっかりインサイドで決めきる力っていうのはまだまだ足りないですし、筑波が勝っていくためにも必要なことになってくると思います」

写真提供:佐藤雅美

ー最後にインカレに向けた意気込みをお願いします

木林選手「チームとしても個人としても最高のパフォーマンスを毎試合していきたいです。4年生としてチームを鼓舞してまとめて、絶対日本一になれるように頑張ります」

筑波大学の初戦は12月7日(木)。下級生の時から主力として活躍し、様々な経験を積んできた。大黒柱として臨む最後のインカレ。有終の美を飾るため、全力を尽くす。

写真提供:佐藤雅美
おすすめの記事