TSUKUBA PRIDE vol.3~悔しさは優勝で晴らす~

写真:茨城ロボッツ、B.LEAGUE、佐藤雅美

関東大学リーグ戦優勝10回、全日本大学選手権大会(インカレ)優勝5回の実績を誇る”筑波大学”。数多くのBリーガー、さらに日本代表選手も輩出する関東大学バスケ屈指の名門校として知られる。今年は新人インカレ優勝、さらに日韓学生バスケットボール競技大会「李相佰盃」では日本学生選抜に最多の4名の選手を送り出した。同じ茨城県のバスケットボールチームとして研鑽を積む筑波大学の関東大学リーグ戦の振り返りとともに、4年ぶりの優勝を目指すインカレへの意気込みを全3回(①吉田健司監督②木林優選手③小川敦也選手)でお届けする。

小川敦也
洛南高校出身。筑波大学入学後も、世代屈指のオールラウンダーとして世代別代表にも選出される。昨年の12月より宇都宮ブレックスに特別指定選手として加入し、今年2月にBリーグ初出場。3試合に出場し、平均4.7得点。プロ相手に身体能力を活かしたダンクも炸裂させ、才能の片鱗を見せた。

プロを経験した大型PG

#31小川敦也選手は洛南高校在籍時から高い身体能力ながら多彩なスキルで活躍を見せ、ウインターカップではチームの3位入賞に貢献。190cmながらポイントガードをこなす器用さを活かし、筑波大学入学後も主力としてチームを牽引する。大学2年時に宇都宮ブレックスに特別指定選手として加入。2月11日のレバンガ北海道戦では豪快なダンクシュートを決めるなど才能の片鱗を見せた。

写真提供:佐藤雅美

2月には「FIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選 Window6」直前合宿に参加し、さらに高いレベルを経験するなど、将来の日本バスケを背負うであろう小川選手。今回のリーグ戦でも得点、アシスト、リバウンドで高いパフォーマンスを見せ、チームに貢献した。

写真提供:佐藤雅美

ーリーグ戦全体の振り返りをお願いします

小川選手「全体通して調子が良い時、悪い時がチームとしてはありました。1回ミスが続くと、それを引きずって悪い流れになってしまっていたので、コーチたちから指示されていることを遂行していくことが大切だと感じた大会でした」

本人は反省を口にするも、10月9日の大東文化大学との戦いでは、13得点、11リバウンド、8アシストとトリプルダブルに近い数字も叩き出した。第4Qの勝負所では値千金の3Pシュートを決め、接戦を制した。

ーリーグ戦全体を通してご自身のプレーはいかがでしたか?

小川選手「自分はポイントガードなので、周りを活かすことに加えて、自分でも得点を取らないといけないと思っています。自分が自由にプレーする時と、周りを活かす時のバランスが取れているとチームも流れに乗れます。どちらかが欠けているとリズムを掴めない傾向にあるので、インカレでは両方高められるように頑張っていきたいです」

写真提供:佐藤雅美

ーポイントガードとしてのプレーの判断は難しい部分だと思いますが、どのように考えてプレーしていますか?

小川選手「筑波大学はスタープレーヤーが多いので、逆に人任せになってしまう部分が多々あります。ただ、学年も上がり、上級生にもなったので、自分がやらないといけないという気持ちでプレーしています」

190cmと日本のポイントガードとしては大柄な小川選手。パスを出す部分やシュートの打点、ディフェンスではプレッシャーも高くなるなど、アドバンテージを有する場面も多い。高校ではスコアラーとして活躍していた小川選手も、大学から本格的にポイントガードに挑戦。小川選手自身も

「どのコールプレーを使い、どの選手を活かすかというのが楽しい部分でもあり、難しい部分でもあります。ただ、そういった部分はプロでも同じだと思うので、そこは成長していきたいです」

と話すように、プロや日本代表を見据え、常に成長を続けている。

写真提供:佐藤雅美

昨年の12月末には宇都宮ブレックスに特別指定選手として加入。2月6日、地元・新潟県でデビューを果たし、8得点4アシストを記録。筑波大学で学び続けてきたことはプロの世界でも通用することを証明した。

ープロの舞台を経て、どのようなことを学びましたか?

小川選手「プロは一つ一つのバスケの考え方や、 試合に臨むための準備を入念に行っていました。試合中も何かあれば、すぐにコミュニケーションを取り、自分たちで解決していました。1勝するための努力、細かい部分のこだわりを感じました。普通に大学でバスケをしてたら気づかなかった大切なことを学べて、プレーに関しても、ディフェンスのポジショニング、スペーシング、戦術を最後までやり切る決定力は勉強になりました」

ーその中で短い期間でも存在感を示しました。通用する部分はありましたか?

小川選手「強いて言うならドライブは通用したと思います。周りがすごい方々ばかりだったのでディフェンスがヘルプに寄ってこないこともあり、ドライブで得点することができました。大学に帰って来てからも自信に繋がりました」

プロを経験、さらに日本代表合宿にも参加と、2年時はさらなる飛躍を遂げた。大学バスケにステージを戻しても活躍を続け、着実にインカレに向け調整を重ねる。

4年生のために

昨年のインカレは初戦敗退。あのときの雪辱を晴らすべく、3年目のインカレに臨む。

ー昨年の悔しさから、一年間どのような思いで練習を重ねましたか?

小川選手「去年は2年生でスタメンに選ばれ、先輩も多い中での出場でした。ポイントガードとして、コールをしてボールを運んだら、そこから先輩に任せてしまう場面がありました。今年は上級生としても、ポイントガードとしても4年生を優勝させるという気持ちでやっていきたいです」

写真提供:佐藤雅美

ーインカレではどのようなプレーを見せていきたいですか?

小川選手「自分で得点しながらも、しっかりと周りを活かすプレーをしていきたいです」

ー最後にインカレに向けた意気込みを教えてください

小川選手「今年の4年生のためにも、そして去年の4年生のためにも頑張らなくてはいけないと思っています。去年の負けが無駄ではなかったと証明するためにも、インカレは必ず優勝を掴み取りたいです。個人としてはトリプルダブルを達成できるように頑張ります」

将来日本を背負うであろうポイントガードが腹をくくった。昨年の負けは優勝でしか取り戻せないと言わんばかりの熱量で、4年生のためにも頂点を目指す。

写真提供:佐藤雅美
おすすめの記事