【AFTER GAME】 2020-21第24節 西宮戦(3/06~07)~連勝ストップも、連敗は許さず。強いチームへと駆け上がれ~

取材:文:荒 大 text by Masaru ARA
撮影:B.LEAGUE

プレーオフで対戦する可能性のあるB2西地区首位の西宮ストークスとの2連戦。B1昇格を成し遂げるためには連取しておきたい相手との戦いだったが、ロボッツはGAME1でちぐはぐなゲームを展開してしまい、49-85で敗戦。ロボッツの連勝は「4」でストップした。GAME2は一転して攻守ともに躍動し、89-72で快勝。連敗を喫さずにアウェーでの戦いを終えることになった。B1を目指して戦うには大きな一敗となったが、この一敗が選手たちをさらに上のステージへと引き上げてくれる原動力になると信じたい。

「相手と戦えていなかった」GAME1

GAME1の第1クォーター。選手たちが口々に大事とする「試合の入り」で、ロボッツは大きくつまずいた。インサイド、アウトサイドを問わず、とにかくシュートが入らない。また、シュートだけに限らず、思い通りのパスをつないでいくこともできない。ターンオーバーを連発し、西宮にみすみす流れを渡す場面が増えていった。

対する西宮は、1月に加入後初のスターター起用となった#5マット・ボンズが序盤から大爆発。第1クォーターだけで9得点を挙げた一方で、アシストも4つを記録するなど上々の立ち上がりを許してしまった。第1クォーターを終わって11-23。ロボッツは、いきなりダブルスコアをつけられてしまったのである。

そして、試合が進む中で、今度はロボッツのボールが止まるようになる。その中で、#11チェハーレス・タプスコットがインサイドをたびたびこじ開けるようにして得点を奪おうとするが、得点パターンは単調なものとなっていく。なんとかオープンを作って3ポイントシュートを放っていくものの、これがことごとくリングに嫌われていく。3ポイントシュートはこの試合21本を試投し、成功はわずかに1本。ボンズや#14福田真生らが3ポイントを連発させ、計11本を沈めた西宮とは、実に対照的なものとなってしまった。

試合を振り返った#25平尾充庸は、「今日に関しては、そもそも西宮さんと戦えていなかったことが原因です」と、敗因を分析する。

「ベクトルが審判など、別の方に向いてしまっているシーンもありましたし、オフェンスで個に走ってしまっているところもありました。ボールと人を回せず、それがシュート確率の差、アシスト数にも表れていると思います。ひとつ大きな壁にぶつかっている状況だと感じていますが、明日はしっかり相手にフォーカスして、どう戦うのか、チーム力が試される試合だと思います。」

大差での敗戦。49得点は今季最少、36点差も、負け試合の中では今シーズンの中では最多点差である。しかも、西宮は大黒柱にして得点源の#18デクアン・ジョーンズを出場停止で欠いている中でのこの試合運び。そのジョーンズも、GAME2には戦列に復帰してくる。シュート精度に限らず、人を動かすスクリーンプレー、ボールを動かすパスワーク、もちろんハードなディフェンスも…。ロボッツはすべてを修正して、翌日を迎えるほかなかった。

奮闘を続けた40分。GAME2では見事な逆襲

ロボッツはGAME2で#2福澤晃平、#6小林大祐、#31アブドゥーラ・クウソーをスターターとして起用。試合の立ち上がりからなんとかこの一戦をものにするのだという気迫のプレーを見せる。コート上の5人が、ハンドラーとしてもオフボールの場面でも積極的に駆け回り、スペースをどんどんと作り出し、空いたスペースでは、逃さずにシュートを打ち込む。ボールとプレイヤーの連動性が、一日にして形を取り戻したのである。ディフェンスでも、相手の突破に対する寄せの速さが蘇り、安易なピックアンドロールやドライブをさせず、タフショットに次々と追い込んでいく。粘り強く一本守っては、こちらが一本のオフェンスを完成させる。その繰り返しで、前日のお返しとばかりにロボッツは第1クォーターでダブルスコアをつけた。こうした試合運びができた要因を、平尾は次のように語る。

「プレー面でないところでいえば気持ちを切り替えられたところ、40分間戦おうという意識を共有できたことです。プレー面ではひとつひとつのスクリーンだったり、細かいところから戦っていかないとということをミーティングでも話して、全員が遂行できました。」

第2クォーター、事態の打開を図りたい西宮は、前日インサイドをどっしりと固めた#22シェイク・ムボジではなく、ジョーンズにボールを託して彼の攻撃力に活路を見出す。その思惑が当たってロボッツとの点差をどんどんと縮め、一時は1点差まで詰め寄られる。しかし、選手たちは決して集中力を切らさなかった。相手のボールを高い位置から止め、西宮のパスワークを止めていく。むしろ、ジョーンズ以外の得点パターンを見出せない西宮を、もう一度引き離し始めた。

後半に入ると、ロボッツのオフェンスが再び躍動する。その主役となったのが、平尾だった。インサイドへのアタックあり、スクリーナーとの連携プレーあり、パスでのボールさばきありと、「ボールと人が動く」状況を自ら積極的に体現した。第3クォーターだけで15得点を荒稼ぎした平尾は、コートの中での実感をこう話す。

「昨日の試合と比べて、スクリーンの部分やボールを動かす部分が良くなり、無理をしてインサイドを攻めたりする回数もかなり減りました。ちゃんと周りにボールを出すこともできていて、全員が周りを信頼してくれていたと感じます。だからこそシュート確率も上げることができましたし、その点でもいい収穫がありました。」

インサイドでは、タプスコットや#15マーク・トラソリーニがうまくファウルをもらいながらインサイドを切り開き、フリースローもきっちり決めて3ポイントプレーを完成させていく。相手のキーマンに次々とファウルトラブルも引き起こさせ、ロボッツは第3クォーターまでで試合の趨勢を決してしまった。第4クォーターは、西宮がボンズの個人技で追い上げたものの、反撃もそこまで。ロボッツは鮮やかな逆襲を果たしてみせた。平尾は試合を振り返り、『闘えた』という手応えを強調する。

「40分間闘い続けてはじめてロボッツのバスケットボールというのは完成するわけであって、誰かが闘っていないとか、相手にフォーカスできていないなどで昨日のような試合になってしまうと、そこから立て直すというのも難しいことなので、今日1試合を通して闘えたというのは収穫でした。あとはGAME1から闘えるようにしていくことが大事なのですが、2日間の80分を闘うことはさらに難しいことなので、継続してやるしかないかなと思っています。」

相手にフォーカスして臨むということは、勝負の世界で決して抜け落ちてはならない点だ。ズルズルと状態を落とすことなく、立ち直ったことを結果で示せたのは大きい。ただ、今季のロボッツは、平尾が言うように連戦の2日間を通した戦い方をどう改善していくか、選手たちは壁に当たりながら日々を送っている。これを乗り越えないことには、B1というステージで躍動する姿を想像するのは難しい。他ならぬ選手たちが、この大きな課題を解決できる時が来ることを、待ち望みたいものである。

ホーム5連戦がスタート。全て勝ち取り、扉を開こう

ロボッツはここから、アースフレンズ東京Z、熊本ヴォルターズ、そして越谷アルファーズを迎え撃ってのホーム5連戦が待ち受ける。全て勝ち取ることができれば、また東地区2位に浮上できる可能性が大きく高まるだけに、連勝を期してひた走ってもらいたいところだ。

次節の相手は東京Z。今シーズン序盤に4度の対戦を行い、ロボッツが4勝と相性の良さを見せている。ただ、その後外国籍選手を中心に選手の入れ替えが起こっており、別物のチームとみて戦わなくてはならないだろう。

要警戒選手は、#21増子匠。B1・信州ブレイブウォリアーズから1月に期限付移籍で東京Zに復帰を果たしたシューターだ。幅広いシュートレンジから自在に打ち分け、加入後すぐさま東京Zにとってなくてはならない存在となった。増子が攻撃参加する機会を減らしていくことで、東京Zのチームとしての攻撃の手を一つ削りたいところだ。

対するロボッツは、#13中村功平の活躍に期待したい。積極的にリングを狙う3ポイントシューターとしての活躍だけでなく、高い位置から体を張るディフェンスでも活躍の兆しを見せている。アウトサイドを攻めるシュータータイプの選手が多い東京Zオフェンスに対して、彼がどれだけ体を寄せきって仕事をさせない状況に追い込めるかに注目だ。

シーズンは残り1ヶ月半というところまで差し掛かった。今のロボッツが、歓喜の瞬間を迎えられるか、そうでないかという分かれ目にいることは、ロボッツに関わる人たちが皆感じ取っているはずだ。一歩、大きく踏み出して悲願の「B1」というステージを現実のものとするためには、勝つしかない。ロボッツがこれまで手が届きそうで届かなかったB1への扉を開けるその瞬間を実現するべく戦う選手たちに、精一杯の応援を届けてほしい。

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