取材:文:荒 大 text by Masaru Ara
撮影:豊崎 彰英 photo by Akihide TOYOSAKI

ロボッツの2021年最初のゲームは、B2西地区の香川ファイブアローズとの一戦。好調な攻撃力を武器に勝ち進んできた香川を相手に、ロボッツはGAME1で95-93、GAME2で101-81と、このカードで連勝を果たした。平均得点リーグ2位のオフェンスが期待通りの力をみせたゲームでもあったが、同時に選手たちからは「エナジー」と「ディフェンス力」の重要性を感じた試合ともなった。ロボッツをさらなる高みに引き上げるためには、改めて必要となるであろうこの2要素をキーワードに、今節を振り返りたい。

「腹を割って話したことで、一丸になっている」

上位チームや好調なチームとの戦いが続く中、着実に勝利を重ねて、現在はB2東地区の2位に位置しているロボッツ。この香川戦も相手のキーマンを積極的に抑え、簡単には勢いづかせなかった。「守り勝つ」試合が増えてきていることに対して、#0遥天翼はこう話す。

「オフェンスはもう、得点が取れることは分かっているので、さらに上位を目指すことを考えたときに、ディフェンスをがんばらなくてはいけません。オフェンスよりもディフェンスの課題にフォーカスしやすいという状態が、今につながっているのではないかと感じています」

遥によれば、特に今のロボッツが重視しているのは、ピックアンドロールにおけるディフェンスであるという。遥は、相手を想定した練習の段階からディフェンスの質を高められていることで、守り勝つ場面が増えているのではないかと分析する。

「ピックアンドロールのときのディフェンスで勝負に出るときの質というのが、ひとつ、今の基準になっています。そこで相手をけん制できるかできないかで、後手後手に回ってしまいますし、それが上手くいっているかどうかがカギになっています。そこからダブルチームに行ったり、スイッチしたりと、臨機応変にやることを意識していますね。」

そうしたディフェンスへの集中がロボッツの強さを生んでいるのか。そう尋ねると、遥は「またそれは違う部分だと思うんです」という。遥は、チームが強さを身に付けるまでに、「分岐点になるゲームが3つあった」と打ち明ける。11月22日の群馬戦(81●-〇86)12月6日の仙台戦(93〇-●85)、そして12月20日のFE名古屋戦(75〇-●55)、いずれもGAME2の試合にあったという。

「3試合とも、前日は負けてしまったのですが、負けた試合の後にバスケットのミーティングというよりも、何が自分たちに足りないとか、選手同士での胸の内だとか、言いづらい部分まで腹を割って話したんです。結果、『やるしかないだろう』という結論になりました。今まで所属していたチームでは、『僕らはプロだから』と、ある意味表面上の話しかしてこなかったんです。しかし、今のロボッツは腹を割って話せるので、より絆が深まっている気がします。そして、そのおかげで、気持ちの面で今の順位とかにつながっていると思うんです。現在のロボッツは、若手もベテランも、チームメイトの発言に感化されて、一丸になっていると感じています。」

選手たちが感化し合い、努力を惜しまず、そして、勝利という結果で、また自らを高め合う。チームは今、好循環の中にあるように見えるが、遥はチームの中にまだ大きな課題があると話す。

「特に、GAME1で試合への入りが悪い。それがロボッツが負けるパターンになりつつあり、いかにウォーミングアップから準備して、気持ちを入れてプレーできるかという課題がありました。今、それが全員が意識してできつつあります。毎試合、どんなチームが相手でも、常にロボッツのバスケができるようにする。それができれば、チームの状態を良いままに保つことができると思います。」

コートで、ベンチで。チームのエナジーを保ち続けるため、遥は自らの気持ちを分け与えることを惜しまない。こうした戦いを続けていくことで、ロボッツが目指す「B1昇格」という目標は、より現実に近づいてくるだろう。

守備で見せつけた、鶴巻の貢献

この2試合、MVPを受賞した#11チェハーレス・タプスコットや#2福澤晃平たちを「攻めのヒーロー」と呼ぶとするならば、ロボッツには「守りのヒーロー」が存在した。#29鶴巻啓太である。両ゲームともにベンチスタートながら、投入された場面では得点力に秀でた香川の#30テレンス・ウッドベリーの突破を要所で止め、簡単な侵入を許さなかった。スタッツに残らないプレーでありながら、鶴巻がもたらすディフェンスのプレッシャーが、香川の攻撃のリズムを狂わせていった。試合後には、リチャード・グレスマンHCや#25平尾充庸が、その名を挙げて働きぶりを称えており、GAME1を終えた段階でのグレスマンHCの言葉が、特に印象的である。

「練習中からウイングのディフェンダーとして優れた点をみせてくれていました。彼がコートに立つ場面において、ウッドベリー選手をしっかり守ってくれるだろうという信頼もありましたし、今日彼が頑張りをみせてくれたことは嬉しいことでした。」

信頼感と共に鶴巻をコートに送り出し、彼も抜群の働きで、これに応えた。GAME1で32得点を挙げたウッドベリーだが、鶴巻が立ちはだかった場面ではその得点力がなりを潜めた。平尾は試合後の会見で「鶴巻のいいところがすごく出ていた」とハードワークを讃えた。

明くる日のGAME2。鶴巻は試合前の練習で、グレスマンHCとマンツーマンでディフェンスの方針について会話をしていた。どんな言葉が交わされていたか、鶴巻本人に聞いてみると、ある種自信に満ちたような答えが返ってきた。

「グレスマンHCから、ウッドベリー選手に対して、何か困ったことや守りづらかった部分はないかと聞かれたんです。ただ、守りづらかったりプレーを変える必要はないと感じたので、『問題ない』と答えました。」

成功が、自信を生み、さらなる成長を生む。GAME2、前日を上回るプレータイムを得た鶴巻は、ウッドベリーとのマッチアップだけでなく、ウイング全体の守備の要として躍動してみせた。ディフェンスで結果を残した手応えを、「自信につながった」とした上で、鶴巻はこう語る。

「プレータイムをなかなかもらえない時期もありましたが、まずはディフェンスを重点的にアピールしていけば良いのではというアドバイスをコーチや先輩方から受けて、短いプレータイムでもディフェンスからアピールしていこうとしていました。今は、その努力を少しずつ買っていただいているとも感じています。」

鶴巻の奮闘ぶりは、他の選手にも伝播し、またチームに新たなエナジーを生み出すだろう。今節の彼のように、ロボッツにまた新たなヒーローが生まれることを期待していきたい。

オールスター前最後のゲーム。連勝で前半戦を折り返そう!

ロボッツの次なる相手は、愛媛オレンジバイキングス。リチャード・グレスマンHCや#11チェハーレス・タプスコットが昨シーズン所属していたチームが相手となる。愛媛は現在3連敗中でB2西地区7位。2021年初勝利を目指して、ロボッツに立ち向かってくることだろう。注目選手は#34ペリー・エリス。内外角をバランス良く攻め、得点を量産していく選手だ。身長202cmと、サイズもあるだけに彼をフリーにする展開は防いでいきたいところだ。また、チームの大黒柱である#13俊野佳彦の活躍にも警戒をしたい。

ロボッツのキーマンは#6小林大祐、そして#15マーク・トラソリーニだ。オフェンスにおいて多彩なプレーの引き出しを持つこの2選手。フィニッシャーとしてだけでなく、ロボッツの持ち味であるボールの連動性をしっかりと引き出してくれることにも期待していきたい。

この2試合を終えれば、前半戦が終了する。そして、Bリーグオールスターゲーム2021がアダストリアみとアリーナで開かれることになる。ロボッツからは#25平尾充庸が本戦とスキルズチャレンジに出場するほか、#2福澤晃平が3ポイントコンテストに登場する。年に一度の夢の祭典に気持ちよく選手たちを送り出すためにも、前半戦最後のゲームを連勝で締めくくりたい。

ハイライト動画

おすすめの記事