アンソニー・ガーベロット新HCを迎えた今シーズン。
日本人選手では小林大祐、二ノ宮康平などB1でも実績がある選手が加入し、外国籍選手ではスペインリーグのリバウンド王ニコラス・カナー・メドリー、大学時代に全米チャンピオンを経験したダニエル・オチェフなど充実した戦力が揃ったものの、度重なるトラブルに見舞われ苦しい戦いを強いられた前半戦をGM上原に振り返ってもらった。
マネージャーやコーチ陣が一丸となって取り組んだ成果が今の連勝にもつながっている
──前半戦を振り返って、チームが苦しい立ち上がりの中、GMとしてどのようなことを考えていたのでしょうか?
選手やコーチとはシーズンオフから共に準備してきました。今季は日本人、外国人ともに申し分ない選手が揃った手応えはありました。練習からプレシーズン、開幕戦までのプロセスはほぼ完璧だったというのが正直な感想です。
前半戦の課題のひとつは「ケガ」でした。アクシデントがあったとき、「たられば」で終わらせてはいけません。今シーズンはタイソン(柴田宗範ストレングスコーチ、愛称:タイソン)や中島(中島翔アスレティックトレーナー)など優秀なコーチ陣を中心に、ケガの要因をしっかり追求してきました。ですから、逆に彼らがいなかったらチームの状況はもっと深刻になっていたかもしれません。
ロボッツは昨シーズンからケガ人が多いですが、スポーツにケガはつきものです。一方で、眞庭選手や福澤選手などコンスタントに活躍し続けているプレイヤーもいます。これはマネージャーやコーチ陣が一丸となってオフから取り組んできた成果。それが今の連勝にも繋がっていると思っています。
2019年ラストゲームの東京エクセレンス戦も、体格の差を乗り越えて勝利できた。いいステップを踏んだと思います。チームの勢いもあるし、後半戦にいい形でつながると手応えを感じています。
10連勝は「偶然」ではなく「必然」。チームの強い信念があるからこそ
──前半戦で難しいと感じた点は?
開幕以降、やはりケガが続いたことやアウェー戦が多かったことです。けれど、負けは続きましたが自分たちがやるべきことは全くブレていないんですよね。それは私だけでなくコーチ陣も同じです。敗因を振り返りつつも「今シーズンはこういうチームをつくる」という強い信念を持ってやってきました。序盤こそ負け越したものの、その思いを貫き通したからこそ、後半巻き返して連勝に繋がった。10連勝は偶然ではなく必然なんです。
勝負をあきらめない、「勝とう」という意識のあるチーム
やはりみなさんの期待は「勝利」です。前半の経験を後半にどう活かすかが、今シーズン最大の勝負どころです。ケガ人に悩まされたからこそ、オンザコート1でも勝負をあきらめず、「勝とう」という意識が全員にある。このチームなら、今シーズン後半も乗り越えていけると思っています。
GM就任以来、目標はずっと変わりません。最終目標は日本一。今はその目標に向かって一歩ずつ段階を踏んでいるところです。
GM として大事なことは、人を集めるだけではなくどれだけ泥臭いことをできるかだと思っています。自分自身元選手でありコーチ経験もあるので、それぞれの気持ちもよく分かるつもりです。
今シーズンのロボッツの能力は申し分ないです。僕の役割はチーム一人一人を見て、どうすれば能力を最大限発揮できるかを考えること。選手のいち先輩として、一人のスタッフとして課題をいち早く察知して解決、チームを良い方向に導くことが僕の仕事だと思っています。
今のロボッツは、素晴らしい選手やコーチ、スタッフが一丸となっているし、各個人が強い想いを持っている。全体の雰囲気は今シーズンが一番良いんじゃないでしょうか。
2年前の17連勝と今シーズンの10連勝は、勝利の重みが変わった
──最後に、2020年に向けての抱負は?
もちろん「B2制覇、B1昇格」の目標は変わりません。社長の山谷さんが今の組織を立ち上げた時から「日本一」を掲げてきましたが、いつかは実現できると確信しています。高い目標は時にプレッシャーにもなりますが、今のチームは全員が目標に向かえています。
今から約2年前、2017-18シーズンに17連勝がありました。けれどあの時の17連勝と、今シーズンの10連勝は勝利の重みが変わったと感じています。
あの時は勝利の手応えよりも「勝ちをつなげた」「連勝が途切れなくてよかった」という思いが強かった。今は1勝1勝を着実に積み重ねているし、気持ちの余裕もでてきました。
さらに、18戦目に負けた経験を眞庭や平尾、髙橋がチームにきちんと語れている。あの2年前の出来事が違う形でいい結果をもたらしています。後半戦はワンプレー、ワンポゼッションを大切にしながら、ロボッツとしてさらにステップアップして、良い結果で終えたい。もちろん地区優勝して、ホームでの優勝を目指します。
シーズン後半は選手一人一人の役割がより明確になってきます。僕の願いはもちろん、ロボッツを選んできてくれた選手たちがそれぞれの役割を発揮すること。そしてシーズンが終わった時に全員が「やりきった」と言えるように。それを願って後半戦も走り抜けたいです。