【AFTER GAME】 2020-21第12節 青森戦(12/12~13)~快勝のち辛勝。自分たちのバスケットを通しきって~

取材:文:荒 大 text by Masaru Ara
撮影:B.LEAGUE

年末に迎えたアウェー6連戦の幕開けは、青森ワッツとの一戦。青森は第11節で連敗を止め、ホーム連戦中とあって勢いに乗っているチームだった。一方のロボッツとしても、上位に食らいつくためには負けられない2試合。両チームの気迫がぶつかり合うことが予想された。ロボッツはGAME1を91-62として快勝を収めたが、続くGAME2では立ち上がりから追いかける展開に。逆転を果たした後、終盤になんとか追いすがる青森を振りきり、97-92で連勝にこぎつけた。苦しい展開を勝ちきったことを糧とした上で、チームとしての課題を再確認し、次なる戦いへ向かってほしい。

全員得点にタイムシェア。「間」と「連携」が戻ってきた

GAME1、第1クォーターからロボッツは先手先手を打っていく。スターターとして起用された#2福澤晃平が、少々のミスマッチをものともせずに相手に体を寄せ、粘り強いディフェンスを見せていく。結果として青森のガード陣に決定的な仕事をさせず、攻撃を徐々に分断していった。一方、オフェンスでは、#25平尾充庸を中心とした連携度の高い攻撃が序盤から展開され、直前の山形戦で課題となった「個」に頼った打開も、目立つものはなかった。また、少しでも間合いが取れれば、容赦なくシュートを打ち込んだり、ペイントエリアにアタックする積極性も披露。内外から相手ディフェンスを翻弄し、流れをますます自らのものとした。

各種スタッツを見ると、この試合における力強さが、さらに説得力を増す。リバウンドを皮切りに、ペイントエリアでの得点、ターンオーバーからの得点、セカンドチャンスでの得点など、多くの指標で青森を上回った。

そして、チームに加入したばかりの#4小寺ハミルトンゲイリーも、この試合からベンチ入り。早速出番を得ることとなった。どっしりとインサイドを固め、リバウンドを奪うだけでなく、自らに集まってきたパスをアウトサイドへ散らし、ボールを動かす上で重要な役割も担った。この日記録したアシストは、チーム最多の5つ。ボールの連動性を重視するロボッツのオフェンスに、また一つ強力なカードが加わったと証明する働きぶりだった。小寺は試合後、こう手応えを語っている。

「10点満点で評価するならば5点くらいの出来だったと思います。まだ練習で詰めきれていない中ではありますが、こうしてチームメイトとプレーできたことはすばらしい機会だったと思います。」

こうしたベンチメンバーの活躍もあり、91-62、今季2度目となる全員得点での勝利となった。リチャード・グレスマンHCは、試合を振り返ってこうコメントしている。

「特に後半で、ディフェンスでの危機感をよく持てていたと思いますし、集中力を継続してリードを広げることができました。選手が集中して戦ってくれたことで勝利を掴めたと思います。」

大勝の裏で、もう一つ気になる数字がある。それは、プレータイムのシェアだ。GAME1で最も長くプレータイムを得たのは、#0遥天翼なのだが、その出場時間は20分24秒。このほか、20分を超えて出場したのは#14髙橋祐二のみという結果だった。その一方で、この日ベンチ入りした12人が全員10分以上プレー。「誰が出ても引けを取らない」という、今シーズンのロボッツを象徴するような戦いぶりだった。文字通りの「全員バスケ」が機能したロボッツ。ここからのシーズン、このような戦いをどんどんと増やしていきたいところだ。

獅子奮迅を許したGAME2。勝つには勝ったが内容も重要

翌日のGAME2。青森は得点能力に長けた#33カイル・バローンや#41スティーブン・ハートにボールを集め、インサイドを突破しにかかる。2人はこの期待に応えて、得点を量産。前日とは打って変わって、青森が優勢に試合を進める序盤となった。試合を終えて、平尾はこんな反省を口にした。

「入りのところでペイントアタックをイージーにさせてしまったことが今日の一番の反省点です。自分たちのやるバスケットを40分間遂行するということがまだまだ自分たちはやりきれていなくて、相手に合わせてしまうという状況が続いているので、そこを早く改善しないといけないと思っています。優勝、B1昇格を目指すためには、そういったロボッツの悪いところを改善しないと、どうしても今日みたいな試合にもなってしまうと思います。」

ロボッツは、第2クォーターから徐々に流れをつかみ始める。キーマンとなったのは#11チェハーレス・タプスコットだ。得点力だけでなく、肝心なポイントでは相手を引きつけ、ノーマークとなった選手へ的確なパスを送る。このクォーター、タプスコットは8得点2アシストの貢献を見せ、ロボッツが試合を振り出しに戻した。

後半、ロボッツはさらに勢いを増す。#15マーク・トラソリーニが内外角を問わずシュートを放ち、得点を挙げていくと、勝負どころでは福澤が代名詞の3ポイントシュートを沈めていく。最終盤、青森がバローンの突破力で猛追してきたところをもう一度振り切り、このカードを連勝で締めくくった。しかし、勝利を果たしたものの、平尾は改めてチームに警鐘を鳴らした。

「結果としては勝ち切れているので、勝って反省できる分まだ良いのかもしれないですが、早いうちに課題をつぶさないと後々勝負どころに響いてくる可能性も出てくると思います。誰かが頑張るのではなく、1人1人が自分のマッチアップにやられないようにするとか、マインドを変えていかないとこの先も厳しくなると思うので、しっかりとやっていきたいと思います。」

勝ったという結果も大事だが、その内容も重要。平尾の言葉通り、チームが一度マインドから引き締めて戦うことが必要なのかもしれない。

次節の相手は西の強豪。ベンチワークにも注目!

ロボッツの次なる相手は、B2・西地区の2位に浮上した、ファイティングイーグルス名古屋。直近5試合の戦績は4勝1敗と好調だ。FE名古屋とはB2の舞台で、何度となく激闘を繰り広げてきた間柄ではあるが、今シーズンの対戦はこの2試合のみ。上位戦線の地固めを考えると、なんとしても連取しておきたい相手であることは間違いないだろう。

FE名古屋の注目選手は、#15ソウシェリフ。ベンチスタートが基本の選手ではあるが、少ないプレータイムの中で、きっちり流れを持ってこられるシックスマンとしての働きは健在だ。時には2桁得点を記録するだけの爆発力も秘めているだけに、外国籍選手の層が厚いFE名古屋の中にあって、その存在感には注意しておきたいところだ。

かたや、ロボッツもロースター全体の層の厚さはB2屈指のもの。誰が出ても引けを取らない総合力は見物である。そんな中、注目したいのは#0遥天翼。ここまで本職のスモールフォワードとしての働き以外にも、ビッグマンディフェンスの切り札としても奮闘している。スターターからでも、ベンチからでも、どのように出番を得てもエネルギッシュなプレーが期待されるだけに、その起用法にも注目したい。

プレータイムをシェアする中でも力強い試合運びを見せたロボッツ。次節も誰がどんな活躍を見せるのか、また、誰をコートに立たせるのか。その采配にも注目が集まる一戦となる。

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