メクテック社・伊藤太郎CEO×茨城ロボッツ・川﨑篤之社長対談「バスケットボールがつなぐ縁。地域を盛り上げ、グローバルな一体感を生み出す」

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取材・文:佐藤 拓也 text by Takuya SATO
写真:茨城ロボッツ photo by IBARAKI ROBOTS

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牛久市内中学校のバスケットボール寄贈

2024年11月18日、茨城ロボッツはパートナー企業と取り組む地域貢献活動「M-HOPE」の一環として、24年9月にパートナーシップ契約を締結したメクテック株式会社(以下メクテック)の協賛により、全ての牛久市立中学校及び義務教育学校6校(牛久第一中学校、牛久第三中学校、下根中学校、牛久南中学校、ひたち野うしく中学校、おくの義務教育学校)に、バスケットボール計60球を寄贈しました。

メクテックは「『良き企業市民』として、すべてのステークホルダーとのかかわりを大切にし、積極的に地域支援活動等を支援します」という指針のもと、これまで多くの地域貢献活動に力を入れてきており、ロボッツとのパートナー契約締結を機に新たな取り組みを行いました。

そして、このたび、メクテックの伊藤太郎CEOと茨城ロボッツの川﨑篤之社長と対談を行い、今回の活動についての経緯や思い、さらにこれからの連携などについて語り合う機会が設けられました。

『自信と誇りを取り戻す』ための地域貢献

まず、伊藤CEOに地域貢献活動に力を入れる理由について質問が飛ぶと、「我々は、困難な時代が続き、再生の為に厳しい施策と構造改革を行ってきました。それにより、社員が自信と誇りを無くしていたのです」と明かしてくれました。

伊藤CEO「みんなで歯を食いしばって頑張ってきたんですが、社員のモチベーションというか、疲弊感がすごくあったんです。社のスローガンの中に『自信と誇りを取り戻す』という言葉があります。社員が会社に対しての誇りを持てるような状況を取り戻したかった。最初は地域貢献というより、社員と一体感を作りたかった。そのためにも何かみんなで思いを一つにできるものが欲しかったんです」

そのために積極的に行ってきたのが地域貢献活動です。「工場近隣の清掃活動」や「茨城県の絶滅危惧種”サギソウ”保護活動」などを続け、地域から愛される企業になることによって、社内の一体感醸成を図ってきました。その中で、「M-HOPE」の活動を行う茨城ロボッツの理念に共感し、パートナーシップ契約を締結。そして、連携による取り組みとして、「バスケットボール寄贈」が行われたのです。

川﨑社長「ロボッツはロボッツだけで存在しているわけではなく、地域と一緒に歩んでいきたいと考えています。そして地域の大事なプレーヤーである企業様のお力を借りながら、我々だけではできないことをやる。それが私の言葉でいうと、『借り物競争』なんですけど、この『借り物競争』の組み合わせがいろんな可能性を生むと思っていて、今回我々がボールを寄贈するのではなく、メクテック様がボールを寄贈することによって大きな活動となる。そういう掛け算が大事なことだとあらためて思っています」

伊藤CEO「ボールを寄贈する際も、沼田和利牛久市長がわざわざ各中学校に回ってくれて、ボールを寄贈してくれたんです。そうすると、我々が寄贈したボールが市長から各中学校に渡っていく。我々もそれを機に牛久市といろんな深い関係ができていく。企業とロボッツと自治体がつながっていくという意味で、いいバトンリレーができたかなと感じています」

川﨑社長「お互いにできることを組み合わせていくと、やれることの幅が広がる。お互いのビジネスにとっていいだけでなく、最終的に地域にいいものを届けられる。その組み合わせの仕掛けの作り方が大切で、それこそスポーツにできることだと思うんです。BリーグやJリーグは社会の公器だと私は考えております。公器だからこそ、その自覚をしっかり持ち、企業様と組み、地域にとって必要なことをやる。それを継続させていくことを大切にしています」

「つなぐ」ことが重要な役割

今回の取り組みは、まさにバスケットボールがつないだ縁と言えるでしょう。それこそが「我々の存在意義」だと川﨑社長は言います。

川﨑社長「つなぐことが我々にとって重要な役割だと思うんですよ。誰かと誰かをつなげる役割こそ、地域に根差したプロスポーツに課されている役割だと思っているので、しっかりやりたいと思っています。『つなぐ』はどのビジネスにおいてもキーワードだと思うので、今回メクテック様と一緒にできることをとてもありがたく思っています」

「バスケットボール寄贈」の報は、様々なメディアを通して発信されました。その反響は大きく、複数のOB社員から伊藤CEOのもとに「よくやった!」「孫に自慢できる」といった声が届けられたそうです。また、パートナー企業としてロボッツの試合会場で紹介されるのを目にした社員や、その家族が喜んでくれたという話も聞き、伊藤CEOは着実に「誇り」を取り戻せていることを実感したといいます。
「『メクテックに入ってよかった』と思ってもらえるような、地域に愛される会社になっていくことが非常に重要だと思っています。今後そういった活動をさらに積極的に行いながら、もっともっと地域の方々に愛される会社を作っていきたいと思っています」と笑みを見せました。

スポーツは国境を超える

「つながり」は国内だけにはとどまりません。「我々は世界に15拠点があります。営業を合わせると、もっと多くの国に展開しているので、グローバルで輪をつないでいかないといけない。それが一番の課題なんです」と話す伊藤CEOは、企業としてさらに成長発展を遂げるために、国境を越えたグローバルなつながりが必要だと考えています。だからこそ、世界中で愛されているバスケットボールを通して、新たなつながりを生み出そうとしているのです。

伊藤CEO「私は過去に5年間中国に赴任していた時がありましたが、中国の事業所内にバスケットゴールがありました。休憩時間や終業後、ボール一つあれば、バスケがはじまるんです。それだけ、バスケは世界中で愛されている。だからこそ、今回のパートナー契約を機にグルーバルな展開ができるような気がします」

川﨑社長「スポーツは国境を超えることができます。メクテック様の世界中の各拠点にロボッツのロゴがあり、映像が流れ、それをきっかけに日本に興味を持ち、茨城に興味を持ち、牛久に興味を持つような役割を我々に果たさせていただいたら、うれしく思っています。世界を巻き込んだ一体感を作り出すことは、ほかのどのチームもできていないと思うんです。海を越えて、みんながロボッツを応援しているみたいな状況を作り出してみたいと思っています」

伊藤CEO「海外事業所の社員が日本に来た時に一緒に試合を見に行くことができるかもしれません。実は年に何回か海外からメンバーが集まるイベントがあるんです。今まではお買い物やディズニーランドに行くといったスケジュールを立てていましたが、これからはその中にロボッツの試合観戦を組み込んでみるのもいいかもしれない。それで新しいつながりができるかもしれませんね」

川﨑社長「そうしたつながりは、僕らだけではできないことなんですよ。それは我々が目指す“ユニーク”の一つになるのかなと思っています」

伊藤CEO「バスケは世界で人気があるスポーツですから、喜んでくれる人は多いと思うんです。大事なのは工場で働いてくれる社員たちにも喜んでもらうこと。そうすると、企業として一体感ができるんです。一緒に試合を見ることによって、同じ会社のメンバーなんだということを感じてくれたらいいですね」

3月22日にアダストリアみとアリーナで開催されるアルバルク東京戦には牛久事業場で働く外国籍社員を含む約40名で試合観戦することが決まっており、さらに県内3つのグループ会社工場にも試合観戦を募集したところ、多くの応募があったそうです。新たな熱の胎動はすでに生まれているのです。

地域とともに歩みを進める

そして最後は生まれたばかりの連携のこれからについてお互いに考えを述べました。

伊藤CEO「我々としてはロボッツさんとともに成長発展していきたいですし、ロボッツさんの成功が我々の成功にもつながるように、一緒になってやっていきたいと思います。もう一つは、ロボッツの選手と中高生や子供たちとが触れ合う機会を作って地域を盛り上げていきたいと思っています」

川﨑社長「これだけ世界で大きく活躍されている企業が牛久という地域を本当に大事にされている。だからこそ、その思いに応えて、我々にできることを一緒にクリエイトしていきたいと思っています。このご縁を生かしていきたいですね。我々はお支えをいただいている立場として、一番の恩返しは強くなって、社員のみなさまが会社とロボッツを誇れるようにすること。それを使命と捉え、しっかりやっていきたいと思います」

新たなパートナーとして、まだ一歩を踏み出したばかり。地域とともに、これから大きな可能性に向かって、歩みを進めていきます。

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この記事を書いた人

茨城県のスポーツシーンを取材するフリーライター。現在は水戸ホーリーホックを中心に活動しており、有料webサイト『デイリーホーリーホック』のメインライターを務める。
Twitter @takuyabeat69

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