リチャード・グレスマン ヘッドコーチ

取材:文:荒 大 text by Masaru Ara
撮影:B.LEAGUE

今シーズン初めてミッドウィークでの開催となったアウェーでの山形ワイヴァンズ戦。ロボッツは敵地での連戦となっていたほか、対戦相手の山形が第4節にシーズン初勝利を果たし「乗っている」状態であるなど、試合を見るまで展開が読めない状況だった。しかし、いざ試合が始まってみれば、心配は杞憂とばかりにロボッツは攻守にわたって躍動し、77-93で勝利。連勝を7に伸ばした。今節の快勝の理由は、試合前からきっちりと相手の動向に対策を採ったディフェンスと、試合の全時間帯を通して発揮されたリズムの良さが存在した。上位対決が増える11月に向けて、実りの多い一戦だったのではないだろうか。

相手との「間」を取りきって

今節のロボッツは、相手のアウトサイドのシュートを警戒し、3ポイントラインを固めて、厳しくチェックするディフェンスシフトを敷いた。序盤は山形のシュートの精度がバラつき、まずはロボッツがリードを広げていった。

一方の山形は、第1クォーター途中から出場した#6新号健がロボッツディフェンスの攻略にかかる。ロボッツディフェンスの厚さを振り切るべく、ボールを積極的に動かし、これに#0アンドリュー・ランダルや#22ランス・グルボーンと言った外国籍選手が応え、3ポイントシュートを積極的に放っていった。ランダルやグルボーンは山形に合流したばかりとは思えない連携と爆発力を見せ、山形が一時リードを奪った。

クロスゲームの様相を見せていた中、ロボッツは第2クォーター、速いパスワークから活路を見出す。2人、3人とパスに絡んでいくことで山形ディフェンスを惑わせ、#13中村功平、#27眞庭城聖が続けざまに3ポイントを決め、あっさりと逆転に成功した。しかし、ロボッツのオフェンスが躍動するのは、むしろここからであった。

第3クォーター、今度は#2福澤晃平や#25平尾充庸が積極的にペイントエリアへと侵入し、相手を縫うようなドライブで山形ディフェンスを突破していく。得点を阻止したい山形は強引に止めるほかなく、チームファウルがかさんでいく。すると、うかつなファウルができないため、積極的なプレーに行けなくなるという悪循環にはまり、ロボッツオフェンスは、相手との適度な「間合い」を保つことに成功した。

#2 福澤晃平選手

間合いがあれば、ドライブ、パス、シュートと、選択肢は広がりに広がる。当然、それらのプレーに見せかけたフェイクもかけられる。とにかく目先の失点を止めたい山形が、ゾーンやマンマークと言うより、ボールを追いかけ気味になったこともロボッツには追い風となった。少しでもスペースが空けば、容赦なく#6小林大祐や#11チェハーレス・タプスコットがゴール下へと攻め込む。入れ替わり立ち替わり、様々な選手たちがゴールを脅かすことで、山形ディフェンスが混乱していく。点差以上の内容で、ロボッツオフェンスは山形を圧倒して見せた。

今節のロボッツには、落ち着き払った「間」が最後まで存在した。その「間」は、ディフェンスにも好循環をもたらしたのである。

シュートチェックから選択肢を削る

ロボッツのディフェンスラインは一貫して高く、厚かった。プレッシャーをかいくぐれず、インサイドになかなか進入できない山形攻撃陣は、必然的に外からのシュートを選択せざるを得ず、その精度が生命線となる状態になった。途中、山形はランダルや#43クリス・ブレディにボールを託して中を攻めに行くが、ロボッツディフェンスの集中は途切れない。結果、外にボールを戻さざるを得ず、ディフェンスの主導権もロボッツが握った。山形は試合が進むほどにチャンスらしいチャンスを作れなくなり、次第に「3ポイント頼み」が加速する事態に陥っていった。

高い位置からチェックが入ることで、相手の攻撃選択肢は削られ、必然的にインサイドでの失点も減った。山形のペイントエリアでの得点数(26)や、フリースローの本数(11本中5本成功、第4クォーターはフリースローなし)と言ったデータから見ても、いかに相手を危険水域に入れさせなかったかが際立ってくる。

ロボッツのディフェンスを支えたのも、相手との「間」である。試合が進む中で、間合いを躊躇なく詰めていくことで、山形の誰がボールを持ったとしても、自由を与えなかった。また、ビッグマンとガード陣が適度にスイッチすることで、サイズのミスマッチを引き起こし、パスの供給も断ち切っていく。これが最後まで徹底できたことで、山形の攻撃はぶつ切りになっていった。

また、山形が目先を変えに行こうとしても、交代で入った#0遥天翼や#31アブドゥーラ・クウソーらが立ちはだかる。スターターだけでなく、控えメンバーも高いポテンシャルを発揮したことで、結果としてプレータイムのシェアにもつながった。

粘り強い守備をベースとして、テンポの良い攻撃につなげていく。今節のスムーズな試合運びは、非常に完成度の高いものだった。今節のゲーム展開は、今後のロボッツのお手本のようになっていくだろう。

上位対決が続く11月。いきなりホーム連勝記録を懸けた一戦

リーグ戦は、ここで1週インターバルを置くことになる。連戦の疲れを取って、次なる戦いへの準備を進めていきたいところだ。11月のロボッツは、第5節終了時点で上位につけるチームとの対戦が続く。時期的には「まだ早い」と思えるかもしれないが、B1昇格やB2優勝など、目指すべきステージを考えると、一つ一つの試合が非常に重要な意味を持ってくる。

まずは11月7日・8日と、B2東地区の首位・越谷アルファーズと今シーズン初対戦を迎える。舞台となるのはロボッツのホーム・アダストリアみとアリーナだ。この試合は、単なる首位攻防戦以外にも大きな意味を持つ一戦となる。昨年11月23日に西宮ストークスに勝利して以来、ロボッツがホームゲームで重ねてきた連勝は「19」。Bリーグのホーム連勝記録は「20」となっていて、次節はタイ記録、そして新記録がかかっているのだ。

越谷は#5アイザック・バッツを中心に据えてゴール下を固める一方で、彼を起点としてアウトサイドの選手たちも万遍なく得点を奪ってくる。誰を相手にしても気が抜けないマッチアップとなっていくことだろう。対するロボッツは、試合を通してディフェンスをしっかりと固め、相手の出足を防いでいきたいところだ。

一方、オフェンスにおいて起点になるであろう選手が、「技のデパート」#15マーク・トラソリーニだ。その多彩な攻めを見せ、越谷をチームとして惑わせていくことで、勝利を手元に引き寄せられるようになるだろう。ビッグマン対決になることが予想される中、「動のトラソリーニ、静のバッツ」、一体どちらが上回るか、注目が集まる。

これまで数々の名勝負の舞台となってきた「VICTORY FACTORY」アダストリアみとアリーナ。新たな歴史が刻まれる瞬間を、会場で、バスケットLIVEで、ぜひ目に焼き付けてほしい。

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